来山(読み)らいざん

関連語 小西来山 桜井

日本大百科全書(ニッポニカ) 「来山」の意味・わかりやすい解説

来山
らいざん
(1654―1716)

江戸前期の俳人小西氏。通称伊右衛門。別号満平(みつひら)、十万堂、湛々翁(たんたんおう)、宗無居士(こじ)、未来居士など。大坂の薬種商の家に出生西山宗因(そういん)門の前川由平(よしひら)に俳諧(はいかい)を学び、ついで宗因直門となり談林(だんりん)風の句をつくったが、元禄(げんろく)期(1688~1704)に至り、静寂な自然観照を主眼とする、蕉風(しょうふう)に近い俳風をもつようになった。また人事句も多く、酒を好み豪放磊落(らいらく)な性格で知られ、当時盛んになった雑俳の点者(てんじゃ)としても活躍した。編著に『大坂八五十韻(はちごじゅういん)』『今宮草(いまみやぐさ)』があり、追善集に『木葉古満(このはごま)』その他がある。

[雲英末雄]

 行水も日まぜになりぬ虫の声

『荻野清編『元禄名家句集』(1954・創元社)』

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改訂新版 世界大百科事典 「来山」の意味・わかりやすい解説

来山 (らいざん)
生没年:1654-1716(承応3-享保1)

江戸前期の俳人。姓は小西,通称は伊右衛門。初号は満平,別号に十万堂,湛翁,宗無居士など。大坂の人。少年期に死別した父が宗因門の俳人だったことから,同門の由平の後見を得て俳人となった。若くして法体となり,1713年(正徳3)夏,今宮に閑居。豪放磊落(らいらく)な人柄であったらしい。また無類の酒好きで〈生涯醒めたる日なく〉と鬼貫の追悼文にみえる。雑俳の点業にも力を入れた。〈お奉行の名さへ覚えずとしくれぬ〉(《海陸前集》)。
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