東京都公害防止条例(読み)とうきょうとこうがいぼうしじょうれい

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「東京都公害防止条例」の意味・わかりやすい解説

東京都公害防止条例
とうきょうとこうがいぼうしじょうれい

1969年東京都が激化する公害に対処するために制定した条例。具体的施策を盛込むと同時に,住民の健康と快適な生活環境を保全することで,憲法 25条にある健康で文化的な最低限度の生活をおくる権利と,同 13条の幸福追求権を具体的基本権としたもの。これが契機となって全国的に環境保全,反公害の機運が高まり,70年のいわゆる公害特別国会において,公害対策基本法改正をはじめ公害関係法令の大幅整備を行う機運が促された。また,この条例自体が,当時急速に底辺を広めていた住民運動の力に負うところが大きかったことから,初めての行政への住民参加の制度をつくり,その後の住民参加の原型の1つとなった。なお現在,ほぼすべての都道府県および政令指定都市公害防止条例を制定している。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の東京都公害防止条例の言及

【環境権】より

… その後72年にストックホルムで開催された国連人間環境会議は〈人間環境宣言〉を採択したが,その中の〈原則〉第1項では,〈人は,尊厳と福祉を保つに足る環境で,自由,平等および十分な生活水準を享受する基本的権利を有するとともに,現在および将来の世代のため環境を保護し改善する厳粛な責任を負う〉とし,環境に関する権利と責任とをうたった。日本では,1969年制定の東京都公害防止条例の前文において〈すべて都民は,健康で安全かつ快適な生活を営む権利を有するのであって,この権利は,公害によってみだりに侵されてはならない〉と宣言されたのが,環境権理念の明文化の始まりとされる。しかし,環境権が全国的に知られるようになったのは,70年に東京で開かれた〈公害に関する国際シンポジウム〉で,アメリカのJ.L.サックスが環境権の確立を提唱したことに負うところきわめて大である。…

※「東京都公害防止条例」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

プラチナキャリア

年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...

プラチナキャリアの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android