東国国司(読み)とうごくこくし

山川 日本史小辞典 改訂新版 「東国国司」の解説

東国国司
とうごくこくし

日本書紀」大化元年(645)8月・同2年3月の詔にみえる地方官。東方八道に派遣されたとあり,それぞれ長官(かみ)1人,次官(すけ)2人,主典(さかん)複数人で構成され,次官以上には良家の大夫が任命された。任務戸口田畝の調査,地方の実態の報告,武器収公などで,評制施行の前提となるものだった。東国国司に関する史料信憑性が高いとされるが,令制国司とは直接つながらず,7世紀後半の史料にみえる総領大宰との関係もまた未詳である。

出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報

世界大百科事典(旧版)内の東国国司の言及

【国司】より


[成立]
 大和国家の地方組織は,在地勢力である国造(くにのみやつこ)・県主(あがたぬし)等の支配する国・県等から成り,中央の朝廷が必要に応じて臨時に役人を地方に派遣することがあって,それが国宰(くにのみこともち)などと呼ばれることはあっても,庶政全般をつかさどる常駐の地方官というものは存在しなかった。ところが大化改新で中央集権的な全国支配体制が採用されることになると,改新政府はまず645年(大化1)8月にいわゆる東国国司を派遣し,やがて西国方面にも同様の国司が派遣されたらしい。これは律令的な地方官で,その官制は長官・次官・主典(判官ともある)の三等官制だったようであるが,定員の規模はのちの令制の国司よりもかなり大きく,管轄区域も令制の数国にまたがる広域支配のものであった。…

※「東国国司」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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