朝日日本歴史人物事典 「松屋久政」の解説
松屋久政
生年:大永1(1521)
安土桃山時代の茶人。通称源三郎。奈良の手貝郷に住む裕福な塗師の家に生まれ,若き日から茶の名人を訪ね,その茶会の記録『松屋会記』を書き残した。そのなかには武野紹鴎 や千利休の記事もあり,初期の茶の湯を知る貴重な史料である。松屋は村田珠光の茶風を伝承する家とされ,いわゆる松屋三名物(徐煕の鷺の絵,松屋肩衝,存星の盆)を所持することでも著名であった。子孫の久好,久重も茶人として活躍し,松屋の伝承を整理して久重が『茶湯秘抄』『茶道四祖伝書』などの茶書を残した。<参考文献>永島福太郎「松屋研究」(『茶道雑誌』1954年5月号~1955年3月号),同校訂『松屋会記』(茶道古典全集9巻)
(熊倉功夫)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報