下地・中塗・上塗など漆塗りの工程にたずさわる職人。漆の技術は高度な専門性が要求されるため,その利用が始まった初期の段階から漆塗りを専業とする人々がいたと考えられる。しかし,その存在が史料で確認できるのは,大宝令で漆部司(ぬりべのつかさ)が設けられ,太政官符などに「漆塗工」の記載がみられる奈良時代である。漆器の需要が広がった中世以降,分業化はさらに進み,仏具・調度・刀装・飲食器など,それぞれの分野に専門の塗師が登場した。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
…それまで貴重品であった漆器も,室町時代以降しだいに一般化し,15世紀半ばには天王寺門前で塗物を販売する店があったこと,武蔵国でも領主から塗物の販売を許可されていたことが知られる。塗師はその技術で寺院などに年貢を納め,天皇または幕府の手形を持って全国を渡り歩いた。日本各地で出土する中世の椀類に技術的に多くの類似性があるのはこのような理由によるものであろうか。…
…それまで貴重品であった漆器も,室町時代以降しだいに一般化し,15世紀半ばには天王寺門前で塗物を販売する店があったこと,武蔵国でも領主から塗物の販売を許可されていたことが知られる。塗師はその技術で寺院などに年貢を納め,天皇または幕府の手形を持って全国を渡り歩いた。日本各地で出土する中世の椀類に技術的に多くの類似性があるのはこのような理由によるものであろうか。…
※「塗師」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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