朝日日本歴史人物事典 「松平武元」の解説
松平武元
生年:正徳3(1713)
江戸中期の幕府老中。幼名は源之進,右近将監と称す。松平播磨守頼明の次男で,享保13(1728)年に松平(越智)武雅の臨終に養子となり陸奥国棚倉5万4000石を領した。元文4(1739)年に奏者番,延享1(1744)年に寺社奉行を兼ねた。8代将軍徳川吉宗は武元の人物を見込んで,同2年の隠退に際して武元を特に招き,後事を託し将軍家重を輔翼すべきことを懇命した。3年5月に西丸老中に任ぜられ,城地を館林に移された。翌4年9月に老中に補せられ,それより家重,家治将軍の下で幕閣にあって重きをなした。田沼意次もまた武元存命中はこれに敬意を示して,あえて威権を振るうことがなかった。明和1(1764)年に老中首座に進み同6年には加増を受けて6万1000石を給された。
(笠谷和比古)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報