20世紀日本人名事典 「林 房雄」の解説
林 房雄
ハヤシ フサオ
昭和期の小説家,評論家
- 生年
- 明治36(1903)年5月30日
- 没年
- 昭和50(1975)年10月9日
- 出生地
- 大分県大分市大分港
- 本名
- 後藤 寿夫(ゴトウ ヒサオ)
- 別名
- 別名=白井 明
- 学歴〔年〕
- 東京帝国大学法科中退
- 主な受賞名〔年〕
- 文学界賞(第13回)〔昭和12年〕「乃木大将」,大衆雑誌懇話会賞(第1回)〔昭和22年〕「妖魚」
- 経歴
- 大正8年旧制・五高在学中、マルキシズムに傾倒、12年東大に進んで新人会の活動家となる。14年雑誌「マルクス主義」に「日和見主義の誕生」などの論文を発表し、15年東京の学生連合委員長として治安維持法違反事件で起訴され、昭和5年に下獄。一方、大正15年に文芸戦線に処女作「林檎」を発表、注目される。その後「絵のない絵本」「N監獄署懲罰日記」などを発表、昭和4年朝日新聞に「都会双曲線」を連載、新進作家として一家をなした。5年には共産党シンパ事件で検挙され、1年9カ月獄中生活。9年に3度目の獄中生活を送るが、その後は転向。この間、7年に獄中で温めていた構想を長編小説「青年」として発表。他の代表作に「壮年」「西郷隆盛」など。戦後、公職追放されたが、25年「息子の青春」、29年「息子の縁談」などの明朗もので復活し、また「大東亜戦争肯定論」「続大東亜戦争肯定論」「神武天皇実在論」等を著した。「林房雄著作集」(全3巻 翼書院)がある。
出典 日外アソシエーツ「20世紀日本人名事典」（2004年刊）20世紀日本人名事典について 情報