改訂新版 世界大百科事典 「柱状大腿骨」の意味・わかりやすい解説
柱状大腿骨 (ちゅうじょうだいたいこつ)
femur with a pilaster
大腿骨の骨幹部後面を縦走する粗線が隆起し,あたかも割り箸を貼り付けたようになった大腿骨のこと。骨幹の断面は洋梨形あるいはフラスコ状になる。建物を補強するために壁の外側に柱のような構造物(付柱(つけばしら),pilaster)を付けることに由来しているので,付柱状大腿骨ともいう。このような現象を大腿骨の柱状性という。大腿骨最大長の中央における矢状径(前後径)と横径(内外側径)との比(%)を柱状示数とし,示数が大きい場合に,柱状性が高いという。粗線は,膝を伸ばす大腿四頭筋のうちの外側広筋と内側広筋の起始部であり,大腿内転筋の停止部でもあるので,これらの筋肉の発達が良いと粗線が隆起すると考えられる。とくに縄文人や後期旧石器人に柱状大腿骨が多くみられ,生業形態との関連性が議論されている。
→縄文人 →人体計測法
執筆者:馬場 悠男
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報