根端(読み)こんたん

精選版 日本国語大辞典 「根端」の意味・読み・例文・類語

こん‐たん【根端】

  1. 〘 名詞 〙 植物の根の先端部分。根冠におおわれた頂端分裂組織と、それに由来する一次組織からなる。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「根端」の意味・わかりやすい解説

根端
こんたん

植物の根の先端部で、ほぼ最先端部の根冠、そのすぐ上部(形態学的には基部側)の根端分裂組織、およびその活動によりできた未分化な根の一次組織を含む。茎頂とともに植物の軸的器官である根と茎の末端に位置し、頂端分裂組織の活動によって植物体の一次組織の形成を行うが、根端は茎頂と異なり根冠を備えること、葉のような側生器官をつくらないなど、活動の仕方や構造は著しく異なる。根冠は根端分裂組織の細胞分裂活動により先端側へつくられるが、根とは独立した始原細胞群(分裂組織のなかで、いつまでもそこにとどまる細胞群)によってつくられる植物もある。根冠は根端分裂組織を保護し、その外側から順々に死んで枯れ落ちる。根端分裂組織はその構造から、多くのシダ植物のように1個の始原細胞をもつ型や、トウモロコシのように根冠、表皮と皮層、中心柱(ちゅうしんちゅう)の三つの始原細胞群をもつ型などに分けられる。しかし実際の細胞分裂活動を調べると、最先端部は静止中心とよばれて活性が低い例が多く、その周りの部分で活発な細胞増殖がみられ、さらにすこし離れた上部に細胞増大の著しい伸長帯がある。

[西野栄正]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「根端」の意味・わかりやすい解説

根端
こんたん
root apex

根の先端部。根形成は根端の細胞が増殖することで行われる。根端の最先端を根冠といい,これが直下生長点をおおう。生長点はシダ植物では頂端細胞種子植物では原始細胞とこれに続く分裂組織から成り,原表皮,原皮層,原中心柱の3部,あるいは鞘層と内体の2部に分化している。生長点は細胞分裂の最も活発な部分で,分裂帯ともいわれる。

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世界大百科事典(旧版)内の根端の言及

【生長点】より

…植物の茎頂と根端の総称。すなわち,茎の先端部にあってその茎の延長部と新しい葉とを作り出す茎頂と,根の先端付近にあってその根の延長部を作り出す根端をいう。…

※「根端」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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