日本大百科全書(ニッポニカ) 「棘鰭類」の意味・わかりやすい解説
棘鰭類(きょっきるい)
きょっきるい
[学] Acanthopterygii
硬骨魚綱Osteichthyes、条鰭(じょうき)亜綱Actinopterygii、新鰭区Neopterygii、真骨亜区Teleostei、正真骨下区Euteleostei、棘鰭上目に属する魚類の総称。普通は背びれや臀(しり)びれの前部に棘条(きょくじょう)があること、腹びれが原則として1本の棘条と5本の軟条から形成され、胸部に位置すること、上顎(じょうがく)の縁にある骨は可動し、口を伸出させることができることなどの特徴を有する一群である。「きょくきるい」とも読む。海水魚の大部分が含まれ、進化の程度が高いグループで、ボラ類を下位に、フグ類を頂点に置いている。分類学上の段階は研究者により同一ではないが、現在では上目superorderとして扱われる。棘鰭上目はボラ目だけを含むボラ系、トウゴロウイワシ目、ダツ目、カダヤシ目を含むトウゴロウイワシ系、およびカンムリキンメダイ目、キンメダイ目、マトウダイ目、トゲウオ目、タウナギ目、カサゴ目、スズキ目、カレイ目、フグ目の9目を含むスズキ系の3系に分かれる。これら13目のなかに267科、約1万5000種を配置する。このうちボラ目は1科だけであるが、スズキ目は飛び抜けて多くて160科を含み、全体の約60%にあたる。一方、本上目をカンムリキンメダイ系、キンメダイ系、マトウダイ系、タウナギ系、トゲウオ系、ボラ系、トウゴロウイワシ系、およびスズキ系の8系に分類する研究者もいる。
[落合 明・尼岡邦夫]