日本大百科全書(ニッポニカ) 「腕鰭類」の意味・わかりやすい解説
腕鰭類
わんきるい
[学] Cladistia
硬骨魚綱Osteichthyes、条鰭(じょうき)亜綱Actinopterygii、腕鰭類に属する淡水魚類の総称。岐鰭類(ききるい)ともいう。分類上の階級(ランク)は軟質類、新鰭類とともに区であるが、亜綱にする研究者もいる。ポリプテルス目Polypteriformes(多鰭目)のみを含む。うきぶくろと相同の肺で空気を呼吸することができ、体が硬鱗(こうりん)で包まれるなど原始的な硬骨魚としての特徴を備える。デボン紀から独自の方向へ進化した一群である。体は細長く、背びれは多数の小さなひれからなり、胸びれの基部は肉質である。アフリカの熱帯地域の淡水に生息する短い体のポリプテルスPolypterus属(ビチャーbichir)に15種と、ギニア湾とその近辺の沿岸にだけ生息するウナギ形をしたエルペトイクティスErpetoichthys属(以前のカラモイクチスCalamoichthys属)にエルペトイクティス・カラバリクスE. calabaricus(リードフィッシュreedfish、またはロープフィッシュropefishともいう)1種だけが属する小さなグループである。しかし、古生代に栄えた魚の特徴を現在も保持しているので、「生きた化石」として興味がもたれている。
[落合 明・尼岡邦夫]