上下に隣り合う椎体の間にあって、厚い円板状をしている線維性軟骨をいう。第2頸椎(けいつい)の下から第5腰椎と仙骨底との間にまであり、成人では通常23個となる。かりに、椎間円板だけをつなぐとすれば、脊柱(せきちゅう)の約4分の1の高さとなる。椎間円板の厚さは脊柱の部位によって異なるが、頸部と腰部とがもっとも厚く、胸部では薄い。椎間円板は、隣接する上下の椎体の厚さと対応して、厚いほど椎骨の可動性が大きくなる。この点からみても、胸椎の運動性は他に比べて小さいことがわかる。個々の椎間円板では、中央部がもっとも厚く、周辺部が薄くなっている。椎間円板の構造は、周辺部を構成する線維輪と、中央部を占める髄核とからなっている。線維輪は線維軟骨で、ラセン(螺旋)状に走る膠原(こうげん)線維からできている。ラセン走行をとる線維は、互いに直角に交わりながら層を形成するので、線維輪は、あらゆる方向の衝撃に対しても抵抗力がある。中央部の髄核は、軟骨細胞を含むゼリー状の組織で、多量の水分を含み、弾力性に富んだ組織である。固い線維輪が受けた衝撃は、柔らかい髄核による緩衝的な働きで、力が放散される。髄核は年齢増加とともに水分が減少し、椎間円板全体が萎縮(いしゅく)し、高さも減じてくる。椎間円板の外傷で線維輪の後部に損傷や裂隙(れつげき)などが生じると、髄核の後方突出がおこる。これが椎間板ヘルニアである。椎間板ヘルニアは、とくに下位腰椎でしばしばおこるため、坐骨(ざこつ)神経の障害や坐骨神経痛の原因となる。
[嶋井和世]
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