標津遺跡群(読み)しべついせきぐん

国指定史跡ガイド 「標津遺跡群」の解説

しべついせきぐん【標津遺跡群】


北海道標津郡標津町伊茶仁(いちゃに)・標津ほかにある擦文(さつもん)時代を中心とする集落跡。指定名称は「標津遺跡伊茶仁カリカリウス遺跡(いせき) 古道遺跡(ふるどういせき) 三本木遺跡(さんぼんぎいせき)」。北海道東岸、根室半島知床半島の中間をオホーツク海へ流れる標津川がある。その西岸には国の天然記念物に指定されている標津湿原があり、さらに標高20m前後の標津丘陵地が西に展開している。丘陵の西裾に湿原から流れ出た小流ポー川が流れ、北裾には伊茶仁川が流れ、集落を形成する好適地となっている。この丘陵の縁辺に伊茶仁カリカリウス遺跡と総称される擦文時代を中心とする集落跡が群在している。ポー川に沿って丘陵の東縁に一定の構造で集落が営まれ、5つの谷にわたって11群589軒の住居跡が確認されている。さらに、伊茶仁川に沿って丘陵の北縁にも652軒の住居跡がある。1979年(昭和54)に国指定史跡となっている。古道遺跡は、約2万m2の範囲内に擦文時代を中心とする竪穴(たてあな)住居跡146、小竪穴73をもつ中規模の集落跡で、1976年(昭和51)に史跡指定されている。以上、2遺跡とも竪穴住居・小竪穴が窪地として明瞭に残っており、深い方形である点に共通性がある。また、どちらも遺跡内部に1基ずつチャシが確認されている。三本木遺跡は、標津川の左岸の海岸砂丘上にあり、オホーツク文化期の五角形または六角形の竪穴住居跡が21軒残り、その下層に続縄文時代の遺構も確認されている。1989年(平成1)、前述の2つの遺跡は統合されて追加指定された。これらのうち、伊茶仁カリカリウス遺跡は、天然記念物標津湿原と合わせてポー川史跡自然公園として整備され、遺跡から出土した土器石器は公園内の標津町歴史民俗資料館で公開されている。公園は4月29日から11月23日の期間、開園している。伊茶仁カリカリウス遺跡へは、JR根室本線釧路駅から阿寒バス「ポー川史跡自然公園前」下車、徒歩すぐ。

出典 講談社国指定史跡ガイドについて 情報

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