日本大百科全書(ニッポニカ) 「標準化死亡比」の意味・わかりやすい解説
標準化死亡比
ひょうじゅんかしぼうひ
standardized mortality ratio
年齢構成の違いを除去して死亡率を比較するための指標。略称SMR。子どもより高齢者の死亡率が高いのは当然なので、高齢者の多い村、若者の多い都市など年齢構成が大きく違う集団や地域の死亡率はそのままでは比較できない。そのために標準的な年齢構成にあわせて、年齢階級別の死亡率を計算して比較するが、そのために使う数値をいう。日本平均を100としており、数字が多い地域は死亡率が高いと判断される。たとえば、ある地域の実際の死者が1万2000人とする。一方、日本全体の年齢階級ごとの基準死亡率(人口10万人につき、14歳未満は2人、15歳から64歳は92人、65歳以上は980人)をその地域の人口にあてはめ、各階級ごとの死亡期待数を出して合計する。その値が1万人だった場合、SMR=12000÷10000×100で、120となる。地域全体の死亡だけでなく、個々の病気ごとのSMRを計算・比較することにより、たとえば、この地域は肝臓癌(がん)死亡が際だって多い、などの様相が浮かんでくる。
[田辺 功]