正塩(読み)せいえん(英語表記)normal salt

日本大百科全書(ニッポニカ)「正塩」の解説

正塩
せいえん
normal salt

塩のうち、酸の水素イオンと塩基の水酸化物イオンとが過不足なく反応して生ずるものをいう。たとえばNaCl,(NH4)2SO4,Na3PO4,CuSO4,BiCl3などがそうである。中性塩とよばれることもある。ただし水溶液はかならずしも中性であるとは限らない。これに対して水素イオンが残っているものを水素塩(あるいは酸性塩ということもある)、水酸化物イオン(あるいは酸化物イオン)が残っているものを水酸化物塩、酸化物塩(あるいは塩基性塩ということもある)という。たとえば(NH4)HSO4,Na2HPO4などが水素塩であり、Cu(OH)2・CuSO4,BiOClなどが水酸化物塩、酸化物塩である。

[中原勝儼]

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精選版 日本国語大辞典「正塩」の解説

せい‐えん【正塩】

〘名〙 酸の水素原子および塩の水酸基が、過不足なく中和されて生じた塩。水溶液は必ずしも中性ではないが、中性塩と呼ばれることもある。塩化ナトリウム・硫酸カルシウム・燐酸ナトリウムなど。正式塩。〔稿本化学語彙(1900)〕

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化学辞典 第2版「正塩」の解説

正塩
セイエン
normal salt

酸の分子式のなかの電離しうる水素イオンを,すべてほかの陽イオン(金属イオンあるいはアンモニウムイオンNH4)で置換した形の化学式で示される塩をいう.正塩を中性塩とよぶことがあるが,正塩の水溶液は必ずしも中性ではないので,このよび方は正しくない.塩化アンモニウムNH4Cl,硫酸銅CuSO4,塩化鉄(Ⅲ)FeCl3の水溶液は酸性を示し,炭酸ナトリウムNa2CO3,リン酸カリウムK3PO4などの水溶液はアルカリ性を示す.

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百科事典マイペディア「正塩」の解説

正塩【せいえん】

塩のうち,のH,塩基のOHまたはOのいずれをも含まないもの。すなわち酸性塩(たとえばNaHCO3),塩基性塩(たとえばBiOCl)のいずれでもないものをいう。たとえばNaCl,CaCl2,Na2CO3,Na3PO4,Al2(SO43など。中性塩ということもあるが,水溶液は常に中性とは限らない。たとえばNa2CO3ではアルカリ性,Al2(SO43では酸性。
→関連項目

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世界大百科事典内の正塩の言及

【塩】より

…正しくは水酸化物塩hydroxide saltという)ということもある。これらに対しK3PO4やMgCl2などのように完全に中和された塩を正塩normal saltという。また,たとえばCH3COONa・CH3COOHのような塩も拡張して酸性塩といい,BiCl(OH)2のような形式のものから水分子のとれたBiClOも塩基性塩といっている。…

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