硫酸カルシウム(読み)りゅうさんかるしうむ(英語表記)calcium sulfate

日本大百科全書(ニッポニカ) 「硫酸カルシウム」の意味・わかりやすい解説

硫酸カルシウム
りゅうさんかるしうむ
calcium sulfate

硫酸のカルシウム塩。化学式CaSO4、式量136.1。天然に二水和物(石膏(せっこう))および無水和物(硬(こう)石膏)の鉱床となって大量に産出するほか、岩塩鉱床、海水および硬水に含まれる。工業的には天然物の採取のほか、種々の化学工業で副産物として製造される。カルシウム塩の水溶液に希硫酸、またはアルカリ金属硫酸塩の水溶液を加えると、66℃以下で二水和物、それ以上では無水和物が析出する。いずれも無色であるが、天然の無水和物は不純物の混入で着色している。一般に水にあまり溶けず、たとえば無水和物の20℃での溶解度は水100グラムに対し約0.3グラムである。二水和物は100℃程度で加熱すると0.5水和物(斜方晶系比重2.63。焼き石膏、半水石膏ともいう)に変わるが、実際には少量の無水和物を含んでいる。この混合物が焼石膏(しょうせっこう)で、常温で水分を吸収して二水和物に戻る。その際、発熱して体積が増す。二水和物を200℃以上で長時間加熱すると無水和物となるが、これは水を加えてもほとんど二水和物に戻らない。なお空気中200℃以下での加熱、あるいは減圧下60~90℃での五酸化二リンによる脱水によって、可溶性の無水和物(三斜晶系、比重2.45)が得られる。石膏、焼石膏としてきわめて広い用途がある。

[鳥居泰男]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「硫酸カルシウム」の意味・わかりやすい解説

硫酸カルシウム
りゅうさんカルシウム
calcium sulfate

化学式 CaSO4石膏 CaSO4・2H2O ,硬石膏 CaSO4 として産出される。実験室的にはカルシウム塩水溶液に硫酸を加えて製造される。無水塩は無色斜方晶系結晶,比重 2.96,2水塩は単斜晶系で比重 2.32,融点 1450℃。焼石膏の製造,ニッケル製錬の副原料,ゴム,紙などの充填剤に用いられる。

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