化学辞典 第2版 「正常ゼーマン効果」の解説
正常ゼーマン効果
セイジョウゼーマンコウカ
normal Zeeman effect
原子や分子のスペクトルは,高い準位と低い準位の間の遷移によるのであるが,磁場をかけるとゼーマン効果によってそれぞれの準位が分裂してスペクトルも分かれる.とくにスピン量子数がS = 0の状態の間の遷移では,高い準位も低い準位も分裂の間隔は同じであり,また両準位間の選択則は磁気量子数をmとするとき,その変化Δmが±1と0であるので,スペクトル線は間隔がμBH(μB はボーア磁子)の三つの線に分かれる.これを正常ゼーマン効果という.これに対して,S 0の状態が関係していると,上の準位と下の準位での分裂の仕方が違う(準位によってg因子が違う)ため,スペクトルは複雑な分かれ方をする.これを異常ゼーマン効果という.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報