朝日日本歴史人物事典 「殿村平右衛門」の解説
殿村平右衛門(初代)
生年:延宝8.8.13(1680.9.5)
江戸時代の大坂の代表的両替商で,屋号は米屋。幼名平吉,長じて茂兵衛,諱 は茂述,一家を興して米屋平右衛門と称した。摂津国島下郡(大阪府茨木市)殿村の生まれ。のち大坂に出て,内淡路町米屋弥次右衛門方に奉公,正徳5(1715)年36歳のとき独立して両替商を始めた。 初代没後の享保8(1723)年2代目のとき,諸藩大坂蔵屋敷から江戸藩邸へ送る資金と,江戸商人が大坂商人に送る資金を為替により相殺する江戸為替の方法を案出したと伝えられる。のち十人両替となり,竜野藩や宇和島藩の蔵屋敷蔵元あるいは掛屋を務め,大坂の大両替商のひとつとなった。幕末まで8代続き,8代目平右衛門は有力富商として,各種御用金を拠出したほか,兵庫商社や明治政府が設立を勧めた大坂通商・為替会社にも鴻池善右衛門家などと共に協力した。<参考文献>宮本又次『大阪町人』
(宮本又郎)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報