鴻池(読み)こうのいけ

精選版 日本国語大辞典 「鴻池」の意味・読み・例文・類語

こうのいけ【鴻池】

[一] 摂津国河辺郡の地名日本酒の名産地。兵庫県伊丹市鴻池(こういけ)付近にあたる。
[二] 大坂富商。寛永二年(一六二五)に初代善右衛門が海運業を始め、主として諸侯運送等を引き受け、のち金融業として大をなした。
洒落本・繁千話(1790)「大坂の嗚池(コウノイケ)江戸の訥子よりも、はるか沖を漕ぎ」

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デジタル大辞泉 「鴻池」の意味・読み・例文・類語

こうのいけ【鴻池】

江戸時代、大坂の豪商の家の名。山中鹿之助の次男新六を祖とする。摂津鴻池村で酒造業を始め、のち大坂に進出して海運業・大名貸しを行い、両替業も兼ねた。

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旺文社日本史事典 三訂版 「鴻池」の解説

鴻池
こうのいけ

江戸時代,江戸の三井と並ぶ大坂の豪商
代々善右衛門を襲名。摂津池田の酒造家で清酒で財をなし大坂に進出,廻船業を兼ねて発展。17世紀半ばから本両替を営み,十人両替に加わった。町人請負新田に着手し,鴻池新田を開発した。加賀・広島・阿波岡山・柳川5藩の掛屋,広島・岡山2藩の蔵元を兼ね,尾張・紀伊家の御用商人となり,多くの豪商が倒産した大名貸を32藩にも行い無事乗り切った。明治維新後,鴻池銀行(三和銀行前身)を創設した。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「鴻池」の意味・わかりやすい解説

鴻池
こうのいけ

大阪府東大阪市北部の地区。江戸時代初期まで大和川分流が流入していた新開池 (しんかいいけ) のあったところで,地名は宝永2 (1705) 年大坂の豪商鴻池善右衛門 (3代目宗利) が巨費を投じてこの池を干拓,同5年約 120haの新田が開発され,鴻池新田と称したことに由来。当時の鴻池新田会所は重要文化財となっている。第2次世界大戦後の農地改革以来,工場進出や宅地化が進んでいる。

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