水掛聟(読み)ミズカケムコ

デジタル大辞泉 「水掛聟」の意味・読み・例文・類語

みずかけむこ〔みづかけむこ〕【水掛聟】

狂言田畑水争いしゅうとと聟がけんかになり、そこへ来た娘が夫の味方をして舅を倒す。

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精選版 日本国語大辞典 「水掛聟」の意味・読み・例文・類語

みずかけむこみづかけ‥【水掛聟】

  1. 狂言。各流。隣り合った田を持つ舅(しゅうと)と聟が、互いに自分の田に水を引き入れようとしてけんかを始める。そこへ舅の娘がやってきて夫に加勢し、夫婦して舅を引倒す。「天正狂言本」で「水引聟」、「狂言記拾遺)」で「水論聟」。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「水掛聟」の意味・わかりやすい解説

水掛聟
みずかけむこ

狂言の曲名。聟狂言。田が隣合わせの聟(シテ)と舅(しゅうと)が、お互いに相手の田から自分の田へ水を引こうとして口論になる。聟が水口(みなくち)の堰(せき)を切ろうとした弾みに舅の顔に水がかかったことから水の掛け合いとなり、さらに泥の掛け合いから付け合いへとエスカレートする。あげくのはてには取っ組み合いのけんかになってしまう。そこへ、この争いを伝え聞いた聟の妻が駆けつけて仲裁に入るが、結局聟のほうに味方し、夫婦して舅を倒し、連れ立って帰る。争いごとの発展過程が戯画的にうまく構成されており、それが笑いに結び付く。とくに、水の掛け合いなどのしぐさがユーモラスである。

[林 和利]

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