カオリナイト(読み)かおりないと(英語表記)kaolinite

翻訳|kaolinite

日本大百科全書(ニッポニカ) 「カオリナイト」の意味・わかりやすい解説

カオリナイト
かおりないと
kaolinite

カオリン鉱物一種カオリン石ともいう。火成岩、火砕岩(火山砕屑(さいせつ)岩)の熱水変質鉱物として産するほか、長石、火山ガラスや他のアルミニウムを含む珪(けい)酸塩鉱物の風化物として堆積(たいせき)岩や土壌中に産する。また、熱水鉱脈鉱床の脈石鉱物や花崗(かこう)岩ペグマタイト中にも産する。普通、塊状ないし粉状である。電子顕微鏡で観察すると、六角板状ないし鱗片(りんぺん)状の結晶がみられる。カオリナイトを主とする粘土で不純物の少ないものは、陶磁器や耐火物に利用される。また、製紙原料、化粧品、農薬などの増量剤などにも利用される。名称は、中国のこの鉱物産地に近い小山の名前、高陵(Kauling)がなまってつけられたカオリンに由来する。

松原 聰]


カオリナイト(データノート)
かおりないとでーたのーと

カオリナイト
 英名    kaolinite
 化学式   Al2Si2O5(OH)4
 少量成分  Fe,Ca
 結晶系   三斜
 硬度    2~2.5
 比重    2.6
 色     白
 光沢    真珠~土状
 条痕    白
 劈開    一方向に完全
       (「劈開」の項目を参照

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カオリナイト」の意味・わかりやすい解説

カオリナイト
kaolinite

Al2Si2O5(OH)O4粘土鉱物の一種。硬度2~2.5,比重 2.61。普通数μm 以下の微細な結晶として産出する。熱すると,500℃付近で (OH) の脱水によって吸熱反応を示し,900~1000℃でムル石を生じて発熱反応を示す。火山岩の熱水変質鉱物として,または雲母,長石,火山ガラス片の風化作用によって生じる。カオリナイトが運ばれて堆積盆地にたまり,カオリン粘土層をなすこともある。耐火原料や製紙原料,また顔料などに使われる。

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