水酸化金(読み)スイサンカキン

化学辞典 第2版 「水酸化金」の解説

水酸化金
スイサンカキン
gold hydroxide

】水酸化金(Ⅰ):AuOH(213.97).金(Ⅲ)塩水溶液を二酸化硫黄で還元し,水酸化アルカリを加えると得られる.暗紫色固体.不安定である.200 ℃ で分解して水を失いAu2O3になる.【】水酸化金(Ⅲ):Au(OH)3(247.99).金(Ⅲ)塩水溶液に水酸化アルカリを加えると褐色沈殿として得られる.五酸化二リン上で乾燥するとAuO(OH)となる.140 ℃ で加熱するとAu2O3になる.両性水酸化物であるが酸性が強い.水,希酸に不溶,濃酸に可溶.熱アルカリに溶けて金(Ⅲ)酸塩をつくる.シアン化カリウム水溶液には錯塩をつくって溶ける.金めっき陶磁器装飾,金カルボニル触媒の製造中間体などに用いられる.[CAS 1303-52-2]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「水酸化金」の意味・わかりやすい解説

水酸化金
すいさんかきん
gold hydroxide

(1) 水酸化金 (I)   AuOH 。金 (III) 塩水溶液に二酸化イオウを通じ,それに水酸化アルカリを加えると得られる。暗紫色の沈殿。酸化金 (I) のゲルと考えれる。不安定で純粋なものは得にくい。 200℃に熱すると金を遊離して酸化金 (III) となる。冷水に可溶。 (2) 水酸化金 (III)  金酸ともよばれる。化学式 Au(OH)3 。金 (III) 塩水溶液に水酸化アルカリを加えると得られる。褐色の粉末。 140~150℃に熱すると酸化金 (III) となる。水に不溶。濃酸や熱アルカリに可溶。

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世界大百科事典(旧版)内の水酸化金の言及

【金酸】より

…水酸化金(III)Au(OH)3の俗称。塩化金(III)水溶液に水酸化アルカリを加えるか,炭酸アルカリを加えて加熱するとAu(OH)3の黄褐色の沈殿が生成する。…

※「水酸化金」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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