水呑み百姓(読み)ミズノミビャクショウ

デジタル大辞泉 「水呑み百姓」の意味・読み・例文・類語

みずのみ‐びゃくしょう〔みづのみビヤクシヤウ〕【水×呑み百姓】

江戸時代自分田畑を持たず、検地帳に登録されない小作日雇いなどの下層農民。貧しい農民。無高百姓。→本百姓
[類語]農民百姓農夫農婦豪農富農貧農精農篤農自作農小作農農家田夫

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精選版 日本国語大辞典 「水呑み百姓」の意味・読み・例文・類語

みずのみ‐びゃくしょうみづのみビャクシャウ【水呑百姓】

  1. 〘 名詞 〙 自分の田畑を所有せず、貢租を負担しなかった貧しい農民の称。検地帳にも登録されていなかった。転じて、貧しい農民。水入り百姓。水呑小作。みずのみ。
    1. [初出の実例]「店借りは水呑百姓の如くし」(出典:政談(1727頃)一)

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旺文社日本史事典 三訂版 「水呑み百姓」の解説

水呑百姓
みずのみびゃくしょう

江戸時代の小作・零細農民
帳外 (ちようはずれ) ・無高百姓ともいう。本百姓の田畑を借りて耕作したり,出稼ぎ・日雇いに従事した。本百姓からの没落や,名子被官隷属農民)などの解放から生じた。

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世界大百科事典(旧版)内の水呑み百姓の言及

【小前】より

…17世紀後半期には近世村落(小農村落)が成立し,身分や家格に拘束されることなく高持百姓全員が村落構成員としての資格を獲得するようになるが,近世村落の成立によって,百姓としての権利と義務(用水や入会地の利用権,年貢・諸役・村入用など諸負担の義務)を持つ高持百姓を小前と呼ぶようになる。しかし小前の用語にはかなり広い意味が含まれていて,(1)高持百姓のすべてを指す場合,(2)村役人以外の一般の高持百姓を指す場合,(3)無高の水呑百姓をも含めて,弱小な小百姓を指す場合,などがある。《地方(じかた)凡例録》に〈小前持高十分の一以下の荒地ハ,定免年季内は百姓内済〉とあるなどは(1)の例であり,同書の他の場所に〈小前連印村役人奥印の請書証文を出させべきこと〉とあるのは(2)の例である。…

【百姓】より

…これに対し無高の者は,水呑と呼ばれて村の寄合からも排除されていた。水呑はしばしば水呑百姓とも呼ばれるが,17世紀末ころ以後においては,厳密には高持百姓たる本百姓が百姓である。
[領主の百姓支配と百姓の諸負担]
 領主による百姓支配の基軸は,小農を百姓として自立させ,百姓を石高制にもとづく生産物年貢の負担者として掌握し,それを領主権力の基礎に据え,権力の経済的基盤としての百姓経営を強化し,その数を増加させ,より多くの年貢・諸役を百姓から取り上げることであった。…

【水呑】より

…さらに一部は離村して都市に流入し,浮民化して社会問題ともなった。水呑はしばしば水呑百姓とも呼ばれているが,高請地を所持しないことから百姓としての権利・義務を持たず,厳密な意味では百姓ではない。【葉山 禎作】。…

【無足人】より

…また伊勢津藩や近江甲賀郡では郷士的な上層農民を無足人といった。これとは逆に肥前唐津藩では水呑百姓を意味していた。持つべきもの(知行地や耕地)を持たない人という点で,これらの用法には共通性がある。…

※「水呑み百姓」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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