氷上郷(読み)ひかみごう

日本歴史地名大系 「氷上郷」の解説

氷上郷
ひかみごう

和名抄」所載の郷。同書高山寺本をはじめ諸本とも訓を欠く。「日本地理志料」は郷名の由来を氷上真人の末裔が住んだことによるかとし、「富永氏郡郷考」を引いて高千穂の西に氷上の地があったとの説を紹介している。「大日本地名辞書」も高千保たかちほ西方の氷上を紹介している。「日向国史」は郡の北東部、東海とうみ(現延岡市)北川きたがわ(現北川町)の地方かとする。高千穂は智保ちほ郷に属すると考えられるので、「日本地理志料」「大日本地名辞書」の説は成立しがたい。「日向国史」の説は北川の流域から河口付近にあったとするもので、現北川町には陵墓と伝えられる可愛えの山陵伝説地があり、北川下流には友内ともうち古墳(延岡市)稲葉崎菅原神社いなばさきすがわらじんじや古墳(延岡市、墳長約一一〇メートルの前方後円墳)がある。


氷上郷
ひかみごう

「和名抄」所載の郷。同書東急本の訓は「比加美」。平城宮跡出土木簡に「(表)丹波国氷上郡氷上里」「(裏)模作麻呂俵」とあり、霊亀二年(七一六)以前にさかのぼる郷名。また平城京跡出土木簡に「丹波国氷上郡氷上郷横田里戸主中臣部小前調銭一貫」とあり、天平一二年(七四〇)以前に郷内に横田よこた里があった。


氷上郷
ひかみごう

「和名抄」東急本には「比加美」と訓を付す。天平一七年(七四五)九月二一日、当郷の戸主物部若子の戸口で年二一の物部牛麻呂の得度願が出されている(「智識優婆塞等貢進文」正倉院文書)

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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