波切村(読み)なきりむら

日本歴史地名大系 「波切村」の解説

波切村
なきりむら

[現在地名]大王町波切

志摩半島の東南端、大王崎があり、西の船越ふなこし村に接する。友山ともやま遺跡・米子の浜よなごのはま遺跡などの縄文遺跡、勾玉・管玉・小玉を出土した塚原つかはら古墳、臼玉の出た大王崎古墳群などがある。「和名抄」の英虞あご名錐なきり郷で、天平一七年(七四五)九月付の平城宮出土木簡に「志摩国英虞郡名錐郷」とある。「神鳳鈔」に「名切」、「吾妻鏡」養和元年(一一八一)正月五日条には熊野山衆徒が志摩国警固の平家家人を「菜切島」に襲撃して敗走させたことが記されている。紀州九木くき(現尾鷲市)から志摩地方進出の機会をうかがった九鬼氏が、波切・名田なたおよび立神たてがみ(現阿児町)の一部を領有していた川面氏を制圧し、貞治年間(一三六二―六八)九鬼隆良によって大王崎一帯に波切城が建造された。六代嘉隆の代に志摩全域が支配下に置かれ、鳥羽城を築いて移るまでの拠点であった(鳥羽誌)

近世を通じて鳥羽藩領で、英虞郡に属した。享保一一年(一七二六)村差出帳(徳川林政史蔵)によれば、高九〇九・〇九四石のうち浦役二・九石、水主米七九・〇一九石が寛文四年(一六六四)から定引となり、反畝不明の無地三五・四三一石がある。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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