波斯(読み)ペルシア(その他表記)Persia

翻訳|Persia

デジタル大辞泉 「波斯」の意味・読み・例文・類語

ペルシア(Persia)

イラン旧称アケメネス朝を始め、セレウコス朝パルティア帝国・ササン朝の時代を経て、7世紀にアラブ支配下に入り、イスラム化した。9世紀以降、サマン朝セルジューク‐トルコイル‐ハン国チムール帝国サファビー朝カジャール朝などが興亡し、1925年に成立したパフラビー朝が国号をイランと改称ペルシャ
[補説]「波斯」とも書く。

ハルシャ

《〈ペルシアPersiaから》江戸時代日本ペルシアを呼んだ名。
[補説]「波斯」とも書いた。

はし【波斯】

中国におけるササン朝ペルシア呼称

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精選版 日本国語大辞典 「波斯」の意味・読み・例文・類語

ペルシア【波斯】

  1. ( Persia )[ 異表記 ] ペルシャ
  2. [ 一 ] イランの旧自称。アケメネス朝発祥の地であるペルシス地方に由来。前七世紀末、メディア王国が建国され、アケメネス朝・アレキサンダー帝国・ササン朝の時代を経て、七世紀にアラブ人に征服され、イスラム化した。九世紀に、サーマン朝が独立したが、のちにトルコ系諸王朝・イルハーン朝(イル汗国)・チムール帝国などの支配下にはいった。一六世紀の初め、サファビー朝が独立し、以後諸王朝が続いたがイギリス・ロシアによって半植民地化された。一九二五年、パフラビー(パーレビー)朝が興り、三五年、国号をイランと改めたが、七九年四月に王制を廃止し、イスラム共和国として現在に至っている。ハルシャ。〔外国事情書(1839)〕
  3. [ 二 ] ペルシア帝国の通称。

波斯の補助注記

中国の正史「梁書」には「波斯」伝があり、日本にも「波斯」の表記が伝えられた。古い漢字表記例として「宇津保‐俊蔭」等に「波斯国」が見えるが、これは「波斯」をそのまま「ハシ」と音読みしたと思われる。近世にはハルシャと呼ばれた。


ハルシャ【波斯】

  1. ( [オランダ語] Persia )
  2. [ 1 ] 江戸時代の日本で、ペルシアの呼称。
    1. [初出の実例]「ハルシャ 百爾斉亜(ハルシャ)婆羅遮国 日本より海上五千百里。南天竺の西辺也」(出典:増補華夷通商考(1708)四)
  3. [ 2 ] 〘 名詞 〙ハルシャがわ(波斯革)」の略。

はし【波斯】

  1. 中国の六朝・隋・唐時代におけるササン朝ペルシアの呼称。のちにペルシア地方の汎称。波斯国。〔管蠡秘言(1777)〕

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改訂新版 世界大百科事典 「波斯」の意味・わかりやすい解説

波斯 (はし)
Bō sī

6世紀ころから唐代までの中国におけるササン朝ペルシアに対する音訳名。波剌斯とも書く。ササン朝はイラン南西部のファールス地方より興ったが,波斯はこのファールスの古代ペルシア語形パールスPārsに由来する。後にはササン朝のみならず広くペルシア(イラン)を指すようになった。
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