日本大百科全書(ニッポニカ) 「波野原」の意味・わかりやすい解説
波野原
なみのばる
熊本県北東部、阿蘇外輪山(あそがいりんざん)の東緩斜面、阿蘇市波野にある高原。波野高原ともいい、標高700~800メートル。JR豊肥(ほうひ)本線が高原を横断している。東端をなす荻(おぎ)岳(843メートル)は、阿蘇カルデラ誕生前に形成をみた新第三紀の古火山で、山頂からの高原の眺望はすばらしい。歌人高田保馬(やすま)はその感動を「白々と末はみそらの雲に入る波野の原のほすすきのむれ」と歌に詠んでいる。1966年(昭和41)の波野村(現、阿蘇市)に対する国の特産野菜産地指定は、波野原にモザイク的な土地利用景観を造出させたが、その眺望の価値はすこしも衰えてはいない。また、波野原から見る北の九重(くじゅう)連峰、南東の祖母傾(そぼかたむき)山、南西の阿蘇五岳の遠望は、人の心をとらえて離さない。
[山口守人]