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阿蘇山 あそさん

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

阿蘇山
あそさん

九州地方中部,熊本県部にある典型的な複式火山活火山で,常時観測火山。最高点は高岳の標高 1592m。阿蘇くじゅう国立公園の中心。過去にはきわめて大規模な噴火活動があり,噴出溶岩は,直径約 200kmの範囲,北は山口県宇部市,東は大分県臼杵市,西は天草諸島の下島,長崎県佐世保市,南は人吉市にまで達した。東西約 18km,南北約 25kmの世界最大級のカルデラを擁し,標高約 900mの外輪山とカルデラ内に噴出した中央火口丘からなる。外輪山の外側斜面は緩傾斜で森林,畑,放牧地に利用されている。中央火口丘には,高岳,中岳(1506m),根子岳(1433m),烏帽子岳(1337m),杵島岳(1326m)の阿蘇五岳のほか,米塚,蛇ノ尾などの岩滓丘がある。中岳は 553年以来きわめて多くの爆発を記録し,今日も噴煙を上げている。高岳の鷲ヶ峰を中心とする北尾根は急峻な岩峰で,根子岳の天狗岩とともにロッククライミングに好適な岩場が多い。火口原は中央火口丘により北の阿蘇谷と南の南郷谷に二分され,それぞれ黒川と白川が流れる。両川は立野で合流し,白川本流となって,外輪山を破り熊本平野へ流出する。

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デジタル大辞泉の解説

あそ‐さん【阿蘇山】

九州中央部の活火山。外輪山と数個の中央火口丘からなり、外輪山は南北24キロ、東西18キロで、世界最大級のカルデラをなす。最高峰は高岳(たかだけ)で、標高1592メートル。南麓には名水として知られる白川水源がある。

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百科事典マイペディアの解説

阿蘇山【あそさん】

熊本県北東部にある複式活火山。中央に安山岩からなる中央火口丘の高岳(1592mで最高点),中岳,根子岳,烏帽子岳,杵島(きしま)岳のいわゆる阿蘇五岳がそびえ,中岳は大噴火口があり現在も活動を続ける。
→関連項目阿蘇[町]一の宮[町]九州山地草千里熊本平野蘇陽[町]日本百名山

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世界大百科事典 第2版の解説

あそさん【阿蘇山】

熊本県北東部にある火山。阿蘇五岳すなわち根子岳(1408m),高岳(1592m),中岳(1506m),杵島岳(1321m),烏帽子岳(1337m)を中心とする火山群とそれをとり囲む大規模な阿蘇カルデラとからなる。狭義に火山群のみをいうことも多い。火山景観を主とする豊かな観光資源に恵まれ,阿蘇国立公園に属する。全域が標高数百m以上に位置し,カルデラ内の火山群は,五岳のほかに往生岳(1238m),御竈門(おかまど)山(1153m),夜峰山(913m),米塚(954m)その他いくつかの山体や火口などで構成され,全体として東西方向に並ぶ。

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大辞林 第三版の解説

あそさん【阿蘇山】

九州中央部にある典型的な複式活火山。最高峰は中央火口丘の阿蘇五岳中の高岳たかだけで、海抜1592メートル。世界最大級のカルデラをもち、火口原には多くの集落や温泉がある。

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日本の地名がわかる事典の解説

〔熊本県〕阿蘇山(あそさん)


熊本県北東部に噴出した複式火山の総称。狭義には中央火口丘、とくにその最高峰をなす高(たか)岳(標高1592m)、火山活動を継続中の中(なか)岳をさしても使われる。深田久弥(ふかだきゅうや)「日本百名山」の一つ。カルデラ内壁は東西約18km、南北約24kmに達し世界屈指の規模。火口原は北の黒(くろ)川流域の阿蘇谷と南の白(しら)川沿いの南郷(なんごう)谷に分かれ、その間に西から東に杵島(きしま)岳・烏帽子(えぼし)岳・中岳・高岳・根子(ねこ)岳の阿蘇五岳(ごがく)が並んで中央火口丘を形成。外輪山は南西部の冠ヶ(かんむりが)岳(標高1154m)を最高峰とし、北端の大観峰(だいかんぽう)付近では高さ400m以上の懸崖(けんがい)をつくる。中央火口丘の山腹を縫って草千里ヶ浜(くさせんりがはま)・砂(すな)千里ヶ浜の雄大な景観のなかを登山道路が通じ、ロープウエーが中岳頂上近くまで結ぶ。火口原の各所から温泉が数多く湧出(ゆうしゅつ)。北側外輪山の尾根上の各展望台を結んで菊池(きくち)阿蘇スカイライン(阿蘇ミルクロード)が走り、北東部から九重(くじゅう)山・湯布院(ゆふいん)方面にやまなみハイウエーが通じる。1934年(昭和9)阿蘇国立公園に指定され、現在は阿蘇くじゅう国立公園の一中心。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

阿蘇山
あそさん

熊本・大分両県にまたがり、おもに玄武岩からなる活火山。西日本火山帯の火山フロント(前線)上にある。かつての霧島(きりしま)火山帯に属し、阿蘇くじゅう国立公園の中心地。火の国熊本の象徴である。
 阿蘇地域は第四紀更新世の初めごろ(約220万年前)から火山活動が盛んで、第四紀更新世(洪積世)後期(約27万~約9万年前)に、超巨大噴火を4回繰り返し、大量の火山灰と火砕流が放出された。4回目の大噴火の噴出量だけでも約600立方キロメートル以上に達する。北中部九州にたまった火砕流堆積(たいせき)物は溶結して、溶岩のように堅い凝灰岩となったので、阿蘇溶岩ともよばれた。この4回目の超巨大噴火の際におきた陥没によって現在みられる直径20キロメートル前後の阿蘇カルデラができた。
 その後、カルデラ内に湖を生じたが、更新世末ないし完新世初頭約1万年前に、断層か侵食により、西側の外輪山が切断されて、立野(たての)火口瀬ができ、湖水が流出した。そのころから、カルデラ内でふたたび噴火が繰り返され、最高峰の高岳(1592メートル)や、中岳(1506メートル)、烏帽子岳(えぼしだけ)(1337メートル)、杵島岳(きしまだけ)(1326メートル)などの中央火口丘群を生じた。根子岳(猫岳)(ねこだけ)(1433メートル)だけは4回目の火砕流噴火前から存在していたと考えられている。2万5000年前ごろからの噴火は中岳に限られる。西暦553年の中岳の噴火記録は日本最古である。中岳は約7個の火口が南北に連なる長径約1100メートルの複合火口をもつ。玄武岩質マグマが小爆発を繰り返す、ストロンボリ式噴火が特徴的である。昭和初期から北端の第一火口が活動中。
 第二次世界大戦後の観光開発によって、自動車やロープウェーによる火口見物が可能になった。そのため死傷者が顕著に増大した時期がある。火山活動の観測、研究のため、1928年(昭和3)西日本で最初に京都大学阿蘇火山研究施設(現在の地球熱学研究施設火山研究センター)が、また1931年には阿蘇山測候所(現、阿蘇山特別地域気象観測所)が設けられた。山麓にある阿蘇山特別地域気象観測所の基地事務所(無人)に設置してある火口監視カメラや震動波形記録を自動観測し、必要に応じて火口を直接観測している。観測結果は福岡管区気象台の火山監視・情報センターに報告され、それを元に火山情報が発表されている。草千里ヶ浜には阿蘇火山博物館がある。[諏訪 彰・中田節也]
『中村治四郎監修『阿蘇山』(1962・中村英数学園) ▽松本夫・松本幡郎編『阿蘇火山』(1981・東海大学出版会) ▽熊本日日新聞社編集局編著『新・阿蘇学』第3版(1994・熊本日日新聞社) ▽長野良市著『阿蘇・宇宙――火と神々の棲む山』(1997・熊本日日新聞社) ▽一の宮町史編纂委員会編、渡辺一徳著『阿蘇火山の生い立ち――地質が語る大地の鼓動』(2001・一の宮町)』

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