日本大百科全書(ニッポニカ) 「流通取引システム共通化」の意味・わかりやすい解説
流通取引システム共通化
りゅうつうとりひきしすてむきょうつうか
商品の流通において、各企業が商品コードなどの取引データの交換規格を統一すること。各小売業の商品コードが統一されていないと、食品会社や日用品メーカーは取引先の小売業者にあわせたシステム投資や煩雑なデータ管理が必要となる。また電話回線を使った取引では、取引できるデータ量に限界があり、電話料金がかさむなどの欠点や紙の伝票を保管・処理する必要もある。システムを共通化すれば、大量の取引データでもインターネットを使って電子データで瞬時に受発注、出荷、商品受領、決済などができるため、取引時間の短縮、省力化、経費削減効果が見込まれる。また、顧客ニーズの変化に即応した品ぞろえや欠品防止につながる利点もある。
日本では2011年(平成23)から、セブン&(アンド)アイホールディングス、イオン、ローソン、味の素(もと)、花王、国分(こくぶ)、菱食(りょうしょく)(現、三菱食品)などの大手企業が連携して共通化に着手した。中小企業を含めたシステム共通化が実現すれば、欧米に比べ非効率といわれる日本の流通コストの削減や、小売価格の引下げにつながると期待されている。この共通化には、2007年4月に経済産業省や日本チェーンストア協会、日本スーパーマーケット協会が中心となって構築した電子データの標準交換基準「流通BMS(Business Message Standard)」が利用されている。
[編集部]