広義には英名セピオライトsepioliteと呼ばれるマグネシウム粘土鉱物の一種で,化学組成はMg9Si12O30(OH)6(OH2)4・6H2Oで表される。比重約2.1,モース硬度2。多くは白色,灰白色,淡紅色,淡青色,淡黄色などを呈する。石灰岩,ドロストーンなどの中に,粗ぼうな粘土状,土状を示す軟らかい脈,塊として産出することが多い。化学的には陽イオン交換性が高く,さまざまに利用される。電子顕微鏡で観察すると,長柱状を示すことも特徴である。日本では栃木県葛生地方のドロマイト鉱床から粘土状のものがわずかに産する。資源的にはスペインのマドリード郊外から産するものが著名である。セピオライトの名称はその産出状態がコウイカの甲の形状に類似しているためコウイカを意味するスペイン語sepiaから命名された。
狭義には,上述の鉱物のうち,淡青緑色半透明緻密な塊状として産し,細工物,特にパイプ材料として珍重されるものをいい,ドイツ語ではMeerschaum(海泡の意)と呼ばれる。名称の起源は,その呈する特有の色が,泡立った海水の美しさに似ていることによるとされている。
執筆者:湊 秀雄
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