海藤花(読み)カイトウゲ

関連語 名詞

精選版 日本国語大辞典 「海藤花」の意味・読み・例文・類語

かいとう‐げ【海藤花】

  1. 〘 名詞 〙(たこ)の卵を素干(すぼ)し、または塩漬けにした食品。黄白色の糸状のもので、酒の肴や吸い物にする。けし粒大の卵の連なった様子が藤の花を思わせるのでこの名がある。兵庫県明石の名物

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「海藤花」の意味・わかりやすい解説

海藤花
かいとうげ

マダコの卵またはその塩蔵品をいう。兵庫県明石(あかし)市の名物。卵粒がつながり、藤(ふじ)の花を思わすところからつけられた名。たこ壺(つぼ)など捕獲器に産み付けられた卵を塩蔵し、利用前に流水中で脱塩して用いる。主として吸物種や酢の物三杯酢)とし、食通に賞味される。また、煮汁からはタウリンが採取され、医療用に利用される。

[金田尚志]


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世界大百科事典(旧版)内の海藤花の言及

【タコ(蛸∥章魚)】より

…タコの卵巣は〈藤の花〉と呼ばれた。白い小さな卵粒の連なっているさまがフジの花房に似ているための名で,わん種や酢の物にして珍重される海藤花(かいとうげ)はその塩蔵品である。【鈴木 晋一】
【民俗,伝説】
 イカと全形が類似して吸盤をそなえた8本の足があり,丸くて頭とみなされる腹部をもつ点で,一種奇怪な擬人的生物としての感覚を起こさせるようで,漫画などでしばしばタコ坊主などとして扱われるほか,禿頭(とくとう)の人とか赤褐色の外皮から酔漢を連想させるあだなにもなっている。…

※「海藤花」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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