日本大百科全書(ニッポニカ) 「タウリン」の意味・わかりやすい解説
タウリン
たうりん
taurine
アミドスルホン酸の一つで、アミノエタンスルホン酸をいう。単斜柱状晶で、熱水に溶け、アルコールに不溶。天然には広く動植物中に存在する。ことにウシの胆汁中に多く存在し、胆汁の加水分解により得られる。合成化学的には2-クロロエタンスルホン酸あるいは2-ヒドロキシエタンスルホン酸とアンモニアとの反応により製造される。アンモニアのかわりに種々のアミン類を用いれば、N-置換タウリンを得ることができる。N-置換タウリンと高級脂肪酸とのアミドは界面活性を有し、合成浸透剤として用いられる。この種の代表に、N-メチルタウリンとオレイン酸とのアミドであるN-メチルオレイルタウリンナトリウム塩はイゲポンT(ドイツのイー・ゲー・ファルベン社の商品名)とよばれる。またN-置換タウリンは染料合成用中間体としても用いられる。
[飛田満彦]