食品の保存法の一つで,魚介類,畜肉,野菜などの腐敗しやすい食品を食塩によって保存することをいう。古くは前16~前15世紀ころからフェニキア人,ギリシア人によって行われており,日本においても1000年以上も前から魚介類の保存法として行われていた。塩蔵法には,食塩を直接食品にふりかける〈まき塩法〉と,食品を食塩水の中に浸漬(しんし)する〈立塩法〉とがある。前者は食塩の量が少なくてすみ,脱水作用が早くおこるなどの長所があるが,塩濃度が不均一になりやすく,油脂を含んだ食品では酸化による変質を受けやすい。後者は食塩の使用量が多く,大きな容器も必要とするが,食塩濃度の調節が容易であり,品質のよい製品を作りやすい。食塩の保存効果は,食塩の添加によって食品の浸透圧が高まり,これによって微生物が原形質分離をおこして死滅したり,微生物の生育に必要な自由水が不足して変敗菌の生育が抑制されることなどによるものである。一般の細菌は食塩濃度が10%以上になると発育できなくなるが,好塩細菌などでは15%付近まで生育できるものが多い。
塩蔵品は大きく野菜塩蔵品(漬物)と魚介類塩蔵品に分けられる。漬物の生産量はおよそ100万tで野菜の生産量の約6%を占めている。量的に多いものはしょうゆ漬,ぬか漬などである。魚介類塩蔵品の生産量はおよそ25万tであり,水産加工食品の約10%を占めている。量的に多いものは塩蔵さけ・ます,塩蔵さば,塩蔵魚卵などである。
執筆者:石谷 孝佑
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