塩蔵(読み)エンゾウ

デジタル大辞泉 「塩蔵」の意味・読み・例文・類語

えん‐ぞう〔‐ザウ〕【塩蔵/×醃蔵】

[名](スル)塩に漬けて長く保存すること。また、そのもの。塩漬け

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精選版 日本国語大辞典 「塩蔵」の意味・読み・例文・類語

えん‐ぞう‥ザウ【塩蔵・&JISEEF5;蔵】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「醃」は野菜を塩漬けにすること ) 魚肉、野菜などを塩に漬けて保存すること。また、そのもの。塩漬け。
    1. [初出の実例]「或塩につけて久しき肉は、皆生気なき陰物なり。滞やすし。此理をしらで生魚より塩蔵をよしとすべからず」(出典:養生訓(1713)三)
    2. [その他の文献]〔爾雅翼‐釈木・棋〕

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改訂新版 世界大百科事典 「塩蔵」の意味・わかりやすい解説

塩蔵 (えんぞう)

食品の保存法の一つで,魚介類,畜肉,野菜などの腐敗しやすい食品を食塩によって保存することをいう。古くは前16~前15世紀ころからフェニキア人,ギリシア人によって行われており,日本においても1000年以上も前から魚介類の保存法として行われていた。塩蔵法には,食塩を直接食品にふりかける〈まき塩法〉と,食品を食塩水の中に浸漬しんし)する〈立塩法〉とがある。前者は食塩の量が少なくてすみ,脱水作用が早くおこるなどの長所があるが,塩濃度が不均一になりやすく,油脂を含んだ食品では酸化による変質を受けやすい。後者は食塩の使用量が多く,大きな容器も必要とするが,食塩濃度の調節が容易であり,品質のよい製品を作りやすい。食塩の保存効果は,食塩の添加によって食品の浸透圧が高まり,これによって微生物原形質分離をおこして死滅したり,微生物の生育に必要な自由水が不足して変敗菌の生育が抑制されることなどによるものである。一般の細菌は食塩濃度が10%以上になると発育できなくなるが,好塩細菌などでは15%付近まで生育できるものが多い。

 塩蔵品は大きく野菜塩蔵品(漬物)と魚介類塩蔵品に分けられる。漬物の生産量はおよそ100万tで野菜の生産量の約6%を占めている。量的に多いものはしょうゆ漬,ぬか漬などである。魚介類塩蔵品の生産量はおよそ25万tであり,水産加工食品の約10%を占めている。量的に多いものは塩蔵さけ・ます,塩蔵さば,塩蔵魚卵などである。
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百科事典マイペディア 「塩蔵」の意味・わかりやすい解説

塩蔵【えんぞう】

食品の保存法の一つ。水産物や肉・野菜などに用いられる塩による貯蔵法。日本では1000年以上も前から魚介類の保存法として行われ,塩を直接原料にまぶして積み重ねるまき塩法,原料を塩水につける立塩法,および両者の併用がある。塩の濃度が10〜15%以上になると,多くの微生物の繁殖が阻止されることを利用したものであるが,それでも好塩菌などは繁殖するから冷蔵との併用が理想的。サバ,サケ・マス類に最も多く利用される。

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栄養・生化学辞典 「塩蔵」の解説

塩蔵

 食品に食塩を加えて貯蔵する方法.

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