改訂新版 世界大百科事典 「淘綾丘陵」の意味・わかりやすい解説
淘綾丘陵 (ゆるぎきゅうりょう)
神奈川県の中央南部,相模湾に臨む丘陵。東西約12km,南北約8kmのほぼひし形の丘陵である。丘陵名は古くからの相模国の郡名にちなみ,大地が〈ゆり上げられたところ〉を意味するという。1896年に淘綾郡は隣接する大住郡と合併して中郡となり,郡名は消滅した。丘陵名もその南東部を占める大磯町の名をとり大磯丘陵と呼ばれることも多い。丘陵は沿岸部では中郡大磯町,二宮町,小田原市に,内陸部では平塚市,足柄上郡中井町,大井町に属する。丘陵の西縁は直線的で,国府津(こうづ)・松田断層によって酒匂(さかわ)川の低地(足柄平野)に接し,東縁は花水川を境に相模川の低地に接する。北縁は渋沢断層で秦野盆地と境し,南縁は相模湾に臨むが3段の段丘が認められる。その上段を東海道本線が通過し,中段に東海道(国道1号線),下段の砂丘地を西湘バイパスが通る。
丘陵は西部の曾我山の不動山(327m)を最高所とし,南東にゆるやかに傾斜する。南東端の高麗(こま)山は山頂に高来神社があって緑濃い樹叢が残り,それに続く湘南平は眺望がよい。丘陵内を南下する葛(くず)川,中村川(押切川)の浸食谷に農村集落があり,タバコ,ラッカセイの栽培と酪農が盛んであったが,近年は住宅地化が進み,内陸部にはゴルフ場も開かれている。
執筆者:伊倉 退蔵
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報