淡嶋神社(読み)あわしまじんじや

日本歴史地名大系 「淡嶋神社」の解説

淡嶋神社
あわしまじんじや

[現在地名]和歌山市加太

加太かだの西方海岸部にある。紀州加太淡嶋神社とも称し、法人名は神道淡嶋教淡嶋神社。旧郷社。祭神少彦名すくなひこな命・大己貴おおなむち命で、相殿に息長足姫おきながたらしひめ命を祀る。紀州志略(大阪府立中之島図書館蔵)は、社家の説として「粟島神者天照大神之女、住吉明神妻、而本地虚空蔵也」と記す。中世の記録には粟島大明神とも記され(正平二三年三月二日「清原重政田地寄進状」当社文書)、現在一般には「アワシマさん」で親しまれている。また江戸時代には加太神社とも称されており(続風土記)、「延喜式」神名帳の名草なくさ郡「加太カタノ神社」に比定される。しかし「延喜式」作成時の加太は海部あま郡に属しており、その頃に当社が現在地にあったとすれば所属郡名が異なることになる。その矛盾について「紀伊国名所図会」は「古は名草郡とす、今海部郡に属す」とするが、加太が奈良時代以来海部郡に属したことは明らかであり、むしろ他例からみて、「延喜式」成立時あるいは転写時の単純な誤りとみるほうが妥当であろう。

創祀時期は不明だが、「紀伊国名所図会」に引く社伝によると、神功皇后が三韓出兵の帰途嵐に遭い、皇后自ら天神地祇に祈ったところともヶ島(現和歌山市)に無事たどり着くことができ、持帰った品々を友ヶ島の少彦名を祀る一神祠に奉幣した。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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