粟島(読み)アワシマ

デジタル大辞泉 「粟島」の意味・読み・例文・類語

あわ‐しま〔あは‐〕【粟島】

新潟県北部、日本海にある島。面積9.1平方キロメートル。
香川県西部、瀬戸内海塩飽しわく諸島の一島。面積4.1平方キロメートル。

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日本歴史地名大系 「粟島」の解説

粟島
あわしま

[現在地名]粟島浦村

粟島全体を含み、東岸に内浦うちうら(前浜)、西岸に釜谷かまやの集落がある。「粟生島」と記されることもあり、「あおしま」ともよばれる。旧高旧領取調帳には粟島浦とある。「万葉集」巻一二に「波の間ゆ雲居に見ゆる粟島の逢はぬもの故我に寄そる児ら」と詠まれる「粟島」を当地にあてる説があるが、異論もあり未詳。「義経記」巻七には義経一行が直江津なおえつ(現上越市)の港から出帆し北上したところ、「青島の北を見給へば、白雲の山腰を離れて、宙に吹かれて出て来る」風雲が起こり、佐渡へ吹寄せられたことがみえる。

年未詳前欠の色部為長置文写(「古案記録草案」所収文書)には「こいつみのみしやうのうち、いろへ・うしや・あふしま」とみえる。粟島は色部いろべ(現神林村)とともにいったん嫡子公長に譲られたが悔返され、為長の妻と推定される人物に一期を限って譲り、そののち公長に与えるようにと定められた。嘉禄三年(一二二七)四月九日、「越後国小泉庄加納内色部・粟嶋」などの地頭職が平(色部)公長に安堵された(「鎌倉将軍家(藤原頼経)下文」色部氏文書)。文永五年(一二六八)四月二八日公長は粟島を孫三郎長信へ譲った(「色部公長譲状」同文書)。また同七年八月二五日付の色部行忍(公長)譲状案(米沢市立図書館所蔵色部氏文書)でも粟島の地頭職が長信へ譲られた。弘安八年(一二八五)二月一三日には長信から袈裟童へ譲られた(「色部長信譲状」色部氏文書)。正和四年(一三一五)八月一三日の色部長綱譲状并関東安堵裏書(同文書)によれば重代相伝の所領粟島地頭職が長綱から母御前へ一期を限り譲られ、同所は「そうりやうにつたわるところ」であるので一期の後は長倫へ譲るようにと決められている。


粟島
あわしま

[現在地名]詫間町粟島

荘内しようない半島の北方に浮ぶ島。東西に長く、中央部が極端にくびれる。嘉慶元年(一三八七)一一月二六日の細川頼有譲状(細川家文書)に「さぬきあをしまのちとうしきはんふん」とみえ、応永七年(一四〇〇)には粟島をはじめとする地頭職が細川頼長に将軍足利義満より安堵された(同年八月二四日「畠山徳元奉書」同文書)。寛永国絵図では庄内しようない浦のうちに島名がみえる。幕末に庄内村から分村したと考えられ、「西讃府志」によれば、村の広さは東西一里一町・南北二〇町、回り一五〇町。丸亀から海上四里、東は志々しし島まで五〇町、西はつむ浦まで二〇町。波戸の長さ四〇間、加子六〇戸。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「粟島」の意味・わかりやすい解説

粟島(香川県)
あわしま

香川県西部、瀬戸内海の塩飽(しわく)諸島の一島。1955年(昭和30)までは粟島村。三豊(みとよ)郡詫間(たくま)町を経て2006年(平成18)からは三豊市に属している。面積3.68平方キロメートル。3島が砂州で連結し、三方に脚を伸ばしたおもしろい形をしている。松、砂浜、段々畑などが相まって風景は美しい。江戸時代から多くの船乗りを輩出してきた塩飽諸島の伝統を引き継ぎ、1897年(明治30)に村立の海員養成学校(のちの国立粟島海員学校)が創立され、船員を輩出してきたが、1987年に廃校、跡地には粟島海洋記念公園ができ、島のシンボルとなっている。漁業と畑作農業に従事し、真珠養殖も手がけている。島の中央部、潟(かた)の粟島港と本土の三豊市詫間町詫間の須田港との間、また、島の東部に位置する塩谷の上新田港、志々島経由で同じく詫間の宮の下港との間に定期航路が開かれている。人口は328(2009)で、減少傾向にある。

[稲田道彦]


粟島(新潟県)
あわしま

新潟県の北端、日本海上に浮かぶ周囲約20キロメートルの孤島。面積9.78平方キロメートル。全島岩船郡粟島浦村に属す。対岸の海府浦(かいふうら)から20キロメートルにあり、羽越本線の車窓から遠望できる。北東から南西の細長い丘陵性の小島で、小柴(こしば)山(266メートル)を最高点とし、逢坂(おうさか)山(235メートル)がこれに次ぐ。3段の変化をする海岸段丘地形からなり、かつて段丘面は牧畑(まきはた)が行われ、アワや雑穀の切り替え畑であったので「粟生(あお)島」とよばれたのが、島名の起源といわれる。男は漁業専業で、畑の岡(おか)仕事は女に任されていた。島の南西岸は絶壁で、1964年(昭和39)の新潟地震で隆起し、海岸景勝地になっている。人口361(2009)。

[山崎久雄]


粟島(鳥取県)
あわしま

鳥取県西部、米子(よなご)市北郊の小丘。標高36メートル。中海(なかうみ)の小島が近世末の干拓で陸化したもの。地名は『伯耆国風土記(ほうきのくにふどき)』逸文の「少日子命(すくなひこのみこと)粟を蒔(ま)きて……故(かれ)、粟嶋と云(い)ふ」による。命を祀(まつ)る粟島神社八百比丘尼(やおびくに)の伝説の洞窟(どうくつ)があり、社叢(しゃそう)は県指定の天然記念物となっている。

[岩永 實]

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改訂新版 世界大百科事典 「粟島」の意味・わかりやすい解説

粟島 (あわしま)

新潟県村上市の北西35kmの日本海にある島。北東~南西に長く,長さ7.5km,幅3.5km,面積9.14km2。全島で新潟県岩船郡粟島浦村を構成する。人口366(2010)。東岸に役場のある内浦,南西岸に釜谷の集落がある。最高点は中央部の灯台のある小柴山(266m)で北端に海岸段丘が発達する。第三紀層のケツ岩が広く分布し,それを粗粒玄武岩が貫く。周囲は内浦の小低地以外断崖であるが,北半分に遊歩道が建設された。中世は色部氏の支配下にあり,近世には西廻海運避難港であった。1964年新潟地震の際東海岸で110cm,西海岸で80cmの隆起があり,74年の高波では内浦の砂浜が決壊し,災害を受けた。水田は新潟地震後灌漑水が枯れ,現在皆無であり,畑地では雑穀,いも類,野菜を産す。おもな生業はタイ漁を中心とする沿岸漁業である。村上市の瀬波,笹川流とともに県立自然公園に指定され,観光客で夏はにぎわう。オオミズナギドリウミウ繁殖地は天然記念物。村上市岩船港との間に定期船がある。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「粟島」の意味・わかりやすい解説

粟島
あわしま

香川県西部,塩飽諸島西端にある島。三豊市に属する。城山 (222m) など花崗岩類からなる三つの山地と丘陵が,海食台上を覆った砂州によって連結されている。 1897年創立の粟島村立航海学校は 1940年から国立となったが,1989年に閉校,粟島海洋記念館として国の登録有形文化財に指定された。中心集落の馬城に海水浴場,キャンプ場があり,付近には古墳などが多い。百々手祭が知られる。荘内自然休養村がある。島全域が瀬戸内海国立公園に属する。面積 3.68km2。人口 415 (2000) 。

粟島
あわしま

粟生島 (あおしま) ともいう。新潟県北部,日本海に浮ぶ島。本土から約 20km (最短距離) にあり,全域が粟島浦村に属する。丘陵性の島で,最高点は小柴山 (265m) 。島のまわりには奇岩が連続する切石ケ鼻,立島などの景勝地があり,釣場,海水浴場もある観光地。対岸の笹川流れの海岸美などとともに瀬波笹川流れ粟島県立自然公園に属する。オオミズナギドリおよびウミウの繁殖地として天然記念物。村上市の岩船港から定期船の便がある。面積 9.86km2。人口 449 (2000) 。

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百科事典マイペディア 「粟島」の意味・わかりやすい解説

粟島【あわしま】

新潟県北部の日本海上にある島。〈あおしま〉とも。岩船郡粟島浦村をなし,9.69km2。366人(2010)。《義経記》に青島とみえ,14世紀には年貢としてアワビを納めていた。江戸時代には商船3・猟船65を数えた。低い丘陵地と海岸段丘からなり,東岸にかつて帆船の避難港であった主集落内浦がある。アワビ,サザエ,ワカメなどを採取,竹材も産する。1964年の新潟地震では震央に近く,1〜1.5m隆起した。村上市から定期船がある。
→関連項目新潟[県]

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歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典 「粟島」の解説

粟島
(通称)
あわしま

歌舞伎・浄瑠璃の外題。
元の外題
粟嶋金竜滝
初演
正徳5.盆(京・万太夫座)

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事典・日本の観光資源 「粟島」の解説

粟島

(香川県三豊市)
香川のみどり100選」指定の観光名所。

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