日本大百科全書(ニッポニカ) 「湾岸エリア」の意味・わかりやすい解説
湾岸エリア
わんがんえりあ
一般に、湾の沿岸にあたる地域を意味するが、不動産業界では、おもに、東京都中央区月島(つきしま)・勝どき(かちどき)、同江東区豊洲(とよす)・東雲(しののめ)・有明(ありあけ)、同港区台場(だいば)など、東京湾沿岸に広がる、比較的都心部に近い埋立地をさしていう。これらの地域には、かつては工場、飛行場、貯木場などが立地していたが、都心へ近いわりに土地価格が安いことから徐々に住宅地としての開発が進み、1990年代以降は超高層マンションが建ち並ぶ居住地域へと変貌(へんぼう)した。とくに2006年(平成18)前後に集中して大規模マンションが分譲され、タワーマンションブームともいわれた。大手デベロッパー(開発業者)が土地を確保しており多くの新規供給計画があるが、2011年3月11日の東日本大震災の影響により液状化、都市ガス・下水道などインフラへの被害が生じ、ほとんどの計画が延期された。首都直下型地震が遠くない将来に発生するとの予測もあることから、タワーマンションブームは去ったとの議論もあった。しかし、2011年12月に震災後初めて分譲されたタワーマンション「プラウドタワー東雲キャナルコート」(野村不動産)が第1期、第2期と連続して即日完売。その後、分譲された湾岸エリアのマンションも、いずれも好調な売れ行きをみせている。タワーマンションのもつ最新の免震機能、銀座や大手町など東京中心部に対する交通の利便性、大規模マンションゆえの相対的な買い求めやすさが支持されているためとみられる。
[編集部]