台場(読み)だいば

日本大百科全書(ニッポニカ) 「台場」の意味・わかりやすい解説

台場
だいば

東京湾内に築造された砲台(砦(とりで))跡。「おだいば」ともいう。1853年(嘉永6)、アメリカ艦隊の来航による江戸侵攻に備え、伊豆韮山(にらやま)の代官江川英龍(ひでたつ)(太郎左衛門)が築かせた海上の砲台で、1年3か月かかって第一~第七の砲台を築いた(第四、第七台場は未完成)。一つの面積は約3.3万平方メートル、周囲を石垣で巡らした方形で、出入口は江戸の方向にあった。現在は第三と第六の台場跡が残されており、1926年(大正15)史跡品川台場に指定された。第三台場跡は都立水上公園として1928年(昭和3)開設、園内に陣屋、火薬庫跡がある。1968年(昭和43)有明埠頭(ありあけふとう)完成により、第三台場は堤防で陸続きとなった。さらに、13号埋立地(江東(こうとう)区)の一部になり、お台場海浜公園内の第三台場公園となっている。1993年(平成5)首都高速道路のレインボーブリッジが完成、1995年東京臨海新交通「ゆりかもめ」開通後、東京臨海副都心の一部として急速に発展、高層住宅、小・中学校、テレビ局、ホテル、ショッピング・モールなどができた。その南方に、1974年開館した船の科学館がある。第六台場は小島として東京港内にあるが未公開である。

[沢田 清]


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百科事典マイペディア 「台場」の意味・わかりやすい解説

台場【だいば】

江戸末期に江戸湾(東京湾)品川沖に築かれた砲台(史跡)。品川台場,お台場とも。現在は港区に属する。黒船来襲に備えて1853年―1854年江川太郎左衛門が設計。7砲台が築かれたが,第4・第7砲台は未完成,砲台は実戦には用いられなかった。東京港の築港に伴い,一部は埋立地,防波堤と連なり,一部は取り払われ,現在は第3,第6台場が残り,第3台場は史蹟公園となっている。1990年代に周辺の開発が著しく進み,レインボーブリッジが完成してゆりかもめや東京臨海高速鉄道が開通,お台場海浜公園一帯には住宅団地やホテル,放送局,ショッピングセンターなどが完成して,東京の新しい名所となった。
→関連項目一朱銀江川太郎左衛門港[区]

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デジタル大辞泉 「台場」の意味・読み・例文・類語

だい‐ば【台場】

江戸末期、海防の目的で要害の地につくった砲台。→品川台場
東京都港区地名東京港埋立13号地の北部を占め、臨海副都心を形成する。東京港の浚渫しゅんせつ土砂でできた13号地を、昭和57年(1982)に港・江東品川の3区で分割。一般に、分割された江東区青海・品川区東八潮も含め、13号地全域を「お台場」と呼ぶことが多い。

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精選版 日本国語大辞典 「台場」の意味・読み・例文・類語

だい‐ば【台場】

〘名〙 要害の地に土・石で築いて、大砲の台をすえつけたもの。砲台。特に、幕末、江戸品川沖に築かれたものをさしていう場合がある。→御台場
徳川実紀‐嘉永六年(1853)八月二八日「八月初旬非常、御手当の為に、品川海中之大筒台場十一ヶ所新規御築立仰せ出さる」

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旺文社日本史事典 三訂版 「台場」の解説

台場
だいば

東京湾品川沖にある,江戸時代の砲台跡
御台場ともいう。ペリーの来航を機に,1853年江川太郎左衛門の献策により着工

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世界大百科事典 第2版 「台場」の意味・わかりやすい解説

だいば【台場】

江戸時代に築造された砲台のこと。とくに,幕府築造の東京湾品川沖の砲台を御台場という。1853年(嘉永6)ペリーの率いる軍艦が羽田沖まで進出したことに驚いた幕府は,再来日に備え,伊豆韮山代官江川太郎左衛門(英竜)らの献策により,8月,品川沖に11基の台場の築造を決定した。翌年にかけて5基が完成し,1基は中途で中止となり,残りは着手されることなく中止となった。おもに洋式の大砲が装備され,武蔵川越藩,陸奥会津藩等の大名警備を命じたが,実戦に用いられることはなかった。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「台場」の意味・わかりやすい解説

台場
だいば

御台場」のページをご覧ください。

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