滝原宮(読み)たきはらのみや

日本歴史地名大系 「滝原宮」の解説

滝原宮
たきはらのみや

[現在地名]大宮町滝原

滝原の北、旧熊野街道と頓登とんど(五十川)が交わる地点に境内入口(一ノ鳥居)がある。頓登川に沿って東へ老杉の立並ぶ参道が五〇〇メートル続き、幽山中に鎮座する。祭神は滝原本宮並宮ならびのみやともに天照大神、本宮にその和魂、並宮に荒魂を奉斎するといわれる。内宮の別宮であり、遥宮とおのみやとも称された。神宮の別宮のなかでも初めから宮号を称し特別な位置に置かれていた。本宮の東に若宮神社長由気ながゆけ神社が建つ。境内およそ四〇町余。

皇太神宮儀式帳」に「滝原宮一院、伊勢志摩両国堺大山中、在太神宮以西、相去九十二里、天照太神遥宮之、御形鏡坐」として正殿一区・御船殿一宇・御床一具・瑞垣一重・御門一間・玉垣一重・御倉一宇、また「並宮一院」は正殿一区・御床一具・瑞垣一重・御門一間・玉垣一重とあり、古代の規模がわかる。大神宮神主注進状(「仁治三年内宮仮殿記」所収)に「滝原並宮者、深山之宮地也、松柏連雪、陽景希照」と記されている。「延喜式」伊勢太神宮の項に「滝原宮一座太神遥宮、在伊勢与志摩境山中、去太神宮西九十里」「滝原並宮一座太神遥宮、在滝原宮地内」とあり、滝原宮はほかの諸別宮と同じく祈年・月次・神嘗祭が行われ、滝原並宮は月次の供に預からないことが記されている。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

世界大百科事典(旧版)内の滝原宮の言及

【大宮[町]】より

…町域の大部分は紀伊山地の東端に当たる山地で,河川沿いのわずかな低地に集落と耕地が開ける。中心集落は滝原で,伊勢神宮の別宮滝原宮があり,古代から明治初年まで神宮領であった。基幹産業は林業で,温暖多雨の気象条件に恵まれて杉,ヒノキの良材の産地となっている。…

※「滝原宮」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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