…その際,〈才(ざえ)を本(もと)としてこそ,大和魂(やまとだましい)の世に用ひらるゝ方(かた)も,強う侍らめ〉と述べている。ここでは(1)大和魂は才(漢学の素養,漢才(からざえ))と反対の概念をなしていること,(2)本(もと)が才であり,したがって,末に位置するものが大和魂であること,(3)大和魂の属性として〈世に用ひらるゝ方〉すなわち処世的手腕・功利主義的判断能力が考えられていたこと,この三つの特性が認められる。従来の源氏注釈家たちは,〈大和魂〉について,世才,良識,先天的にそなわった気ばたらき,融通のきく常識的政治判断,世渡りの才能,交際上手,如才なさ,実人生に対する理解力,などの解釈を与えている。…
※「漢才」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」