イカ釣りに使う擬餌針の一種。10cm前後(小は5cmぐらいから大は15cmぐらいまである)の中太の円筒形の金属棒の下端に,針を十数本傘状にとりつけ,糸でまいたものが多く使われた。地方により,対象とするイカの種類によって,材料,仕様はさまざまである。〈つの〉と言いながら動物の角に限ったわけではなく,むしろ竹,キリなどの木,シンチュウ,鉄,鉛などの金属がよく用いられた。エビあるいは魚に似せるため,またイカを誘うために色のついた絹布で巻いたり,イカ肉(生あるいは干物)を巻きつけたりする。針を2段につけることもある。現在用いられるのはプラスチック製で,下部に鉛あるいはステンレス鋼をつけ,その下に針をとりつけてあるのが普通。手釣り,さお釣り,ローラーを使う動力釣り,自動釣り機による釣りなどに用いられる。昼間の釣りもあるが,多くは夜間,水上の集魚灯をつけ,あるいは水中灯をつけて,イカを集めて釣る。手釣り,さお釣りの場合は道糸につける烏賊角の数は数個であるが,動力を利用する場合は数十個をつける。これを水中で上下動させ,寄ってきたイカを引っかけて釣りあげる。
執筆者:清水 誠
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
…軟体動物門頭足綱のうち,現生ではコウイカ目Sepioidea,ツツイカ目Teuthoidea(あわせて十腕形類Decembrachiata)を総称。英名ではコウイカ類のように体の短いものをcuttlefish,ヤリイカ,スルメイカのように体の細長いものをsquidという。全世界の海におよそ400~500種,日本を含む北西太平洋に90~100種すむと推定される。最大のものはダイオウイカ類で外套(がいとう)長6mに達し,最小のものはヒメイカ類で外套長は1.6cm程度である。…
※「烏賊角」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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