スイスの物理学者。東部にある町ブックスに生まれる。スイス連邦工科大学で数学と物理学を学び、1960年に博士号を取得したのち、1年間兵役についた。その後、渡米してニュー・ジャージー州にあるラトガーズ大学で研究員となり、1963年スイスに戻り、IBMチューリヒ研究所に所属した。1986年同研究所のフェロー(特別研究員)となった。1974年から1975年にかけてカリフォルニア大学の客員研究者となったが、そのとき以外は同研究所で研究生活をおくった。
IBM研究所で固体物理学、とくに金属表面の原子のふるまいについて研究した。1978年にはビーニッヒが彼の研究チームに加わり、二人は共同でトンネル効果とよばれる量子的メカニズムを利用した新しい研究法を開発した。その後、この研究から走査型トンネル顕微鏡のアイデアが生まれ、その開発に成功した。走査型トンネル顕微鏡は、鋭い針先からトンネル電流を試料に向けて放出し、その電流を一定にすることにより、電圧の変化の測定から、試料表面の微細な原子レベルの立体像をつくるものである。この顕微鏡は、半導体の表面構造の解析、マイクロエレクトロニクス、さらにDNA(デオキシリボ核酸)やウイルスの研究など幅広く利用されている。共同研究者のビーニッヒとともに、「走査型トンネル顕微鏡の設計」により1986年のノーベル物理学賞を受賞した。なお、電子顕微鏡の基本技術を開発したルスカも同時受賞している。
[編集部]
すべり摩擦を回転摩擦に変え、運動の抵抗を軽減するところに使われる円筒形の機械部品。物を移動させるとき、摩擦を減らすために使用する「ころ」とか、ベアリングとしても使用される。また道路工事などで地面を平らに固めるために、地面上を移動しながら一定圧力を連続的に加える締め固め用の機械にも使われる。圧延機、印刷機などに使用するロールもローラーである。ローラーは金属製のものが多いが、印刷用のものは表面をゴムで被覆したものが使われる。
[中山秀太郎]
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オーストラリアの劇作家。メルボルン生れ。13歳以後学校教育は受けず,工場勤めのかたわら劇作と演劇に打ち込んだ。10作目の《17個目の人形の夏》(1955)がヒットし,1957年にはロンドンで7ヵ月のロングランを続け,ローラーみずから主役の一人を演じ,イブニング・スタンダード賞を受けた。サトウキビ刈りの男たちと彼らの情婦のかかわり合いを描いたこの作品は,この国の男性中心的な開拓期のエートスであるメートシップの矛盾に,女性のがわから光をあて,20世紀オーストラリア演劇の低迷を打破し,その後の演劇の隆盛のきっかけとなった。ロンドン公演後,ローラーはおもにイギリスに住み,自国が第2次文芸興隆期を迎えた75年にヒット作と三部作をなす作品をもって帰国した。
執筆者:越智 道雄
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【車輪の歴史】
車輪は回転運動装置のうちでは最も代表的なもので,その発達はろくろ,旋盤,ドリル,水車,風車などの歴史と密接なかかわりをもっていたと思われる。車輪の起源については明らかではないが,ローラー(ころ)から発展したとする説がかなり有力である。そしてこのローラーの着想は,細長い丸棒を手のひらで押したり引いたりして回転させたことに由来するとみられている。…
…19世紀後半,アメリカで蒸気杭打機が開発され,杭の打込速度が速くなるとともに,ハンマーの重量が軽減され,基礎工事の能率化に成功している。また,かつてのスコップに代わる蒸気ショベル,蒸気トラクターや蒸気ローラーなども登場し,パナマ運河などの大土木工事の成功も,これらの機械の利用に負うところが大きい。内燃機関の利用は,20世紀に入って,アメリカでガソリンエンジンがキャタピラ式トラクターに導入されたのに始まるが,その後,ディーゼルエンジンがこれに代わり,掘削機,トラクターおよびグレーダーの動力源として重土工作業を飛躍的に発展させた。…
…歴史的にはゴールドラッシュ時代から商業演劇は盛んで,自国作家の小説の翻案ものなどがよく上演されてきた。戯曲,劇団,劇場の三拍子がそろって大成功したのはローラーRay Lawler(1921‐ )作《17番目の人形の夏》(1955)が最初であった。オーストラリアのエートスの核をなすメートシップの病理をえぐり出したこの作品が,国内はもとよりロンドンで7ヵ月のロングランを続けるまでの反響を引き起こしたことは,文化ナショナリズムをいたずらにうたい上げる1890年以降の傾向を,戯曲作家や演劇関係者だけでなく,観客の一般オーストラリア人自身が脱皮し始めた証拠と見ることができる。…
…歴史的にはゴールドラッシュ時代から商業演劇は盛んで,自国作家の小説の翻案ものなどがよく上演されてきた。戯曲,劇団,劇場の三拍子がそろって大成功したのはローラーRay Lawler(1921‐ )作《17番目の人形の夏》(1955)が最初であった。オーストラリアのエートスの核をなすメートシップの病理をえぐり出したこの作品が,国内はもとよりロンドンで7ヵ月のロングランを続けるまでの反響を引き起こしたことは,文化ナショナリズムをいたずらにうたい上げる1890年以降の傾向を,戯曲作家や演劇関係者だけでなく,観客の一般オーストラリア人自身が脱皮し始めた証拠と見ることができる。…
※「ローラー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
〘 名詞 〙 年の暮れに、その年の仕事を終えること。また、その日。《 季語・冬 》[初出の実例]「けふは大晦日(つごもり)一年中の仕事納(オサ)め」(出典:浄瑠璃・新版歌祭文(お染久松)(1780)油...
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