日本大百科全書(ニッポニカ) 「無線報時」の意味・わかりやすい解説
無線報時
むせんほうじ
電波を利用して時刻を知らせること。無線電信の発明により1905年アメリカで無線報時が始まり、日本も1911年(明治44)東京天文台で測定した標準時を有線で銚子(ちょうし)無線電信局(千葉県)へ送信し、同局から無線電信をもって放送することを計画、試験期間を置いて翌年9月1日から正式に実施した。当時は一定時に分秒を送信する定時報時であったが、短波技術の進歩に伴って1938年には短波報時が、1948年には長波報時が始まり、現在では連続的に標準周波数の搬送波を発射し、これに音声波による変調、または搬送波の切断によって秒信号を表示する標準電波報時形式が主として行われている。通報される時刻は協定世界時に基づくものである。なお、短波報時は2001年(平成13)3月末に廃止され、現在は長波報時のみが発射されている。
[渡辺敏夫]