熱残留磁気年代測定法(読み)ねつざんりゅうじきねんだいそくていほう(その他表記)archeomagnetic dating

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「熱残留磁気年代測定法」の意味・わかりやすい解説

熱残留磁気年代測定法
ねつざんりゅうじきねんだいそくていほう
archeomagnetic dating

考古学的年代測定法の一つ。熱の加えられていない粘土では,その中に含まれている磁鉄鉱赤鉄鉱粒子はほとんど磁場をもっていないが,その粘土が一度熱せられると,その周囲に地球の磁場をつくり上げ,冷却したのちも磁場は凍結したまま,その粘土がくずれ去るまで記録される。そのため,炉跡窯跡の周囲の熱の加えられた粘土中に,そのときの地球磁場が記録されているわけである。一方地球の磁場は,ロンドン磁針の示す磁化の方向の偏角伏角が 400年間にわたって測定された記録があるが,永年変化を続けている。その変化率は世界各地で異なっているが,その変化曲線の知られている土地では,この熱残留磁気を測定することによって,絶対年代を測定することができる。測定記録をもっている地域には限界があるし,より古い時代のものは存在しないため,炭素 14年代測定法などでいくつかのサンプルをつくり,あらかじめ変化曲線を用意しておく必要がある。イギリス,アメリカ南西部,日本でこの測定法による年代決定が行われている。

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