考古学において、ある遺跡・遺物の製作、使用、廃棄などの年代が、銘やその関連文献、共存遺物との関係、また放射性炭素による年代測定などの自然科学的諸方法によって、紀元前あるいは紀元後何年または何年ごろと判明する場合、この年代が時間的に変動しないということで絶対年代という。
とくに近年、自然科学的諸方法が用いられることが多いが、試料そのものの良・不良によって測定年代に誤差が生じることもあり、その遺跡・遺物の考古学的検討も怠ってはいけない。
[南 博史]
岩石や土壌などに含まれる放射性核種の壊変を利用して、それらが形成された年代を求めた場合、あるいは木の年輪や氷縞粘土(ひょうこうねんど)を用いてそれらが形成された年代を求めた場合、それらの年代を絶対年代ということがある。層序に基づく時間の前後関係を示す地質学的年代に対して、絶対年代という名称を用いたものである。同様の用語は考古学分野においても,ほぼ同意で用いられる。しかしながら、どのような年代測定法においても「絶対」という形容語がつくほど正確かつ高精度な年代が求められるわけではないので、絶対年代という用語ではなく、放射年代あるいは数値年代などの用語を使用すべきであろう。
[角井朝昭]
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…第1は,岩層を構成している鉱物に含まれた放射性元素が一定の速度で壊変する原理を利用して,岩石が何年前にできたかを,つまり地質年代を測定する。この放射性元素をもとにして得られた放射年代は,地球が太陽を1年の周期で回るという時間を単位にして測られるので,絶対年代あるいは測定年代,数値年代とも呼ばれる。第2の方法は,地表にあらわれた岩層について,岩層相互の関係を調べ,岩層が生成された順序に配列することにより,地球の歴史を刻んだ一連の岩層の重なりを復元することである。…
…これを地質系統といい,地質を編年することを層位学stratigraphyと名付ける。地質時代は相対年代と絶対年代の二つで決定される。相対年代は化石の進化系列を比較して地層の新旧を決める〈地層同定の法則〉にのっとった方法で,最近では古地磁気層位学も化石とまったく同じ方法で調べられているし,また酸素などの安定同位体のえがく変動曲線も同じものと考えられている。…
…ヨーロッパでは,万物の創造は聖書の記述のとおりに行われたと考えられてきたが,18世紀ころから地質学者は,地層,化石などの研究を通して,この聖書的年代に挑戦してきた。生物が一時に全種出現したわけではなく,さまざまに進化してきたことが化石の研究からわかり,化石を含む層の上下関係から,各種の生物が出現した時代の前後関係(相対年代)がわかってきたが,宇宙の時間の流れで測った年代,つまり何年前に起きたか(絶対年代)が得られるようになったのは20世紀に入り,放射年代測定が行われるようになってからである。現在では従来の相対年代と絶対年代の較正も行われ,年代といえば絶対年代を意味するようになりつつある。…
※「絶対年代」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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