翻訳|thermal
日中,大気下層のいたるところに生ずる,浮力によって上昇する暖かい空気の塊をいう。日射によって地表面が加熱されると,地表面に接している空気が暖められて密度が小さくなるために,上昇しようとする。このとき,地表面から少し離れた所では,暖かい空気は連続的に上昇するのではなく,むしろ,間欠的にほぼ球状の塊となって上昇するようになる。このような球状の空気塊の中心部には,飛行に都合のよい上昇流が存在することが,古くからグライダーのパイロットによって知られていた。彼らはこのような空気塊の運動が,水中を上昇する気泡の運動に似ていると考えていたらしいが,実際の空気塊は周囲の冷たい空気を取り込んで希釈され,また同時に大きくなりながら上昇する点で気泡と異なっている。大気の中・上層は安定な密度成層をしているため,水蒸気の凝結に伴う潜熱の放出などがない限り,熱気泡は上昇するにつれてしだいに浮力を失い,ついには消滅してしまう。
執筆者:花房 竜男
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…とくに上昇気流がある場合には,降下速度がその分だけ減るので,滑空距離や耐空時間が延びる。上昇気流は,市街地や畑地の上空に見られる熱気泡,山の風上側斜面に見られる斜面上昇風,山の風下側に生ずる山岳波,寒冷・温暖前線の暖空気の側に見られる前線上昇風などに存在し,これらの上昇気流をうまくつかまえて利用することが,グライダーの長距離滑空では重要になる。
[離陸方法]
グライダーの発進には,かつてはゴムの索を用いてパチンコ式に打ち出す方法もあったが,現在多く使われているのは,自動車や飛行機によってロープで引いてもらうか,ウィンチでロープを巻きとってもらう方式である。…
※「熱気泡」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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