熱気泡(読み)ネツキホウ(英語表記)thermal

翻訳|thermal

デジタル大辞泉 「熱気泡」の意味・読み・例文・類語

ねつ‐きほう〔‐キハウ〕【熱気泡】

下層大気が不規則に熱せられて上昇する、比較的小規模な空気の塊。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「熱気泡」の意味・読み・例文・類語

ねつ‐きほう‥キハウ【熱気泡】

  1. 〘 名詞 〙 下層大気が不規則に熱せられて上昇する、比較的小規模な空気の塊。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「熱気泡」の意味・わかりやすい解説

熱気泡 (ねつきほう)
thermal

日中,大気下層のいたるところに生ずる,浮力によって上昇する暖かい空気の塊をいう。日射によって地表面が加熱されると,地表面に接している空気が暖められて密度が小さくなるために,上昇しようとする。このとき,地表面から少し離れた所では,暖かい空気は連続的に上昇するのではなく,むしろ,間欠的にほぼ球状の塊となって上昇するようになる。このような球状の空気塊の中心部には,飛行に都合のよい上昇流が存在することが,古くからグライダーパイロットによって知られていた。彼らはこのような空気塊の運動が,水中を上昇する気泡の運動に似ていると考えていたらしいが,実際の空気塊は周囲の冷たい空気を取り込んで希釈され,また同時に大きくなりながら上昇する点で気泡と異なっている。大気の中・上層は安定な密度成層をしているため,水蒸気凝結に伴う潜熱放出などがない限り,熱気泡は上昇するにつれてしだいに浮力を失い,ついには消滅してしまう。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「熱気泡」の意味・わかりやすい解説

熱気泡
ねつきほう

下層大気が不規則に加熱された場合生ずる比較的小規模の上昇する空気の塊。テルミクThermik(ドイツ語)、サーマルthermalともいう。狭義には、間欠的に加熱されたときに発生するバブルとよばれる孤立した気塊をさすことがある。なお、加熱が連続である場合はプリュームplumeとよばれる羽毛状の流れとなる。熱気泡は上昇し凝結高度以上になると積雲をつくる。

饒村 曜]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

百科事典マイペディア 「熱気泡」の意味・わかりやすい解説

熱気泡【ねつきほう】

晴れた夏の昼などで風の弱いとき,裸地が日射で熱せられて付近の空気が軽くなり気泡のようになって次々と浮かび上がるもの。熱上昇気流が不連続的に起こっているもので,直径30〜500mのゴム気球が次第にふくれながら上昇するのに似ている。グライダーの滑空に利用される。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

世界大百科事典(旧版)内の熱気泡の言及

【グライダー】より

…とくに上昇気流がある場合には,降下速度がその分だけ減るので,滑空距離や耐空時間が延びる。上昇気流は,市街地や畑地の上空に見られる熱気泡,山の風上側斜面に見られる斜面上昇風,山の風下側に生ずる山岳波,寒冷・温暖前線の暖空気の側に見られる前線上昇風などに存在し,これらの上昇気流をうまくつかまえて利用することが,グライダーの長距離滑空では重要になる。
[離陸方法]
 グライダーの発進には,かつてはゴムの索を用いてパチンコ式に打ち出す方法もあったが,現在多く使われているのは,自動車や飛行機によってロープで引いてもらうか,ウィンチでロープを巻きとってもらう方式である。…

※「熱気泡」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

プラチナキャリア

年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...

プラチナキャリアの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android