物の名(読み)モノノナ

デジタル大辞泉 「物の名」の意味・読み・例文・類語

もの‐の‐な【物の名】

物事名称。ぶつめい。
和歌連歌俳諧で、ある事物の名称を、意味に関係なく詠み込むもの。「あしひきの山たちはなれゆく雲の宿り定めぬ世にこそありけれ」に「たちばな」を詠み込んだ類。隠し題。ぶつめい。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「物の名」の意味・読み・例文・類語

もの【物】 の 名(な)

  1. 物の名称。物の名前物名(ぶつめい)
    1. [初出の実例]「薬王品などに、取りわきての給へる、五つ千たんとかや、おどろおどろしき物のななれど」(出典:源氏物語(1001‐14頃)東屋)
  2. 和歌や俳諧で、与えられた物の名称を、前後の意味に関係なく、掛詞のようによみ込むもの。
    1. [初出の実例]「物名」(出典:古今和歌集(905‐914))
    2. 「所の名と、ものの名とは、韻の字なれども、ゆるさると申歟」(出典:名語記(1275)五)

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