物名(読み)ブツメイ

デジタル大辞泉 「物名」の意味・読み・例文・類語

ぶつ‐めい【物名】

物の名。
物名歌ぶつめいか」の略。

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精選版 日本国語大辞典 「物名」の意味・読み・例文・類語

ぶつ‐めい【物名】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 物の名。名称。
    1. [初出の実例]「其語を筆して此書の本科となしたれば、其物名称謂の厖雑、訛謬も亦少からざるを知る」(出典:米欧回覧実記(1877)〈久米邦武〉例言)
    2. [その他の文献]〔中論‐治学〕
  3. ぶつめいか(物名歌)」の略。
    1. [初出の実例]「自室町殿下二首題折句、物名等也」(出典実隆公記‐文明一七年(1485)四月二日)

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百科事典マイペディア 「物名」の意味・わかりやすい解説

物名【もののな】

和歌の詠法の一種。〈隠題(かくしだい)〉とも呼ばれ,歌の意味内容とは関わりなく事物の名を詠みこむ,遊戯性の高い知的技巧。二重の意味を利かせず,言葉の形のみを借りる場合も多い。例えば〈あきちかうのはなりにけり白露のおける草葉もいろかはりゆく〉には〈桔梗花(きちこうのはな)〉が詠み込まれている。平安前期から中期にはかなり流行し,幾多の物名歌合が行われ,《古今和歌集》《拾遺和歌集》《千載和歌集》には部立(ぶだて)も設けられている。

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世界大百科事典(旧版)内の物名の言及

【懸詞】より

…その発達が本格的になるのは《古今集》時代以後である。平安時代には物名(ぶつめい∥もののな)という和歌の一体があったが,それは〈来(く)べきほど時過ぎぬれや〉(《古今集》)という句の一部に,鳥の名の〈ほととぎす〉を前後の意味・文脈と関係なしに隠し入れた類で,ふつうはこれを懸詞といわない。平安・鎌倉期の歌論・連歌論で〈秀句(しゆうく)〉と呼ばれるものには,懸詞のほかに当意即妙の気の利いた表現までも含まれることが多い。…

【言語遊戯】より

…〈かきつばた〉を隠した〈からころもきつつなれにしつましあればはるばるきぬるたびをしぞおもふ〉(在原業平(ありわらのなりひら))が典型例。指定された物の名を歌に詠み込む〈物名(ぶつめい)〉も類似の遊びである。(3)沓冠(くつかむり) 各句の頭(冠)のほかに,最後(沓)にも一定の語を折り込んだ和歌の手法。…

【懸詞】より

…その発達が本格的になるのは《古今集》時代以後である。平安時代には物名(ぶつめい∥もののな)という和歌の一体があったが,それは〈来(く)べきほど時過ぎぬれや〉(《古今集》)という句の一部に,鳥の名の〈ほととぎす〉を前後の意味・文脈と関係なしに隠し入れた類で,ふつうはこれを懸詞といわない。平安・鎌倉期の歌論・連歌論で〈秀句(しゆうく)〉と呼ばれるものには,懸詞のほかに当意即妙の気の利いた表現までも含まれることが多い。…

※「物名」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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