日本大百科全書(ニッポニカ) 「特別公的管理」の意味・わかりやすい解説
特別公的管理
とくべつこうてきかんり
1998年(平成10)10月に施行された金融再生法に基づき、銀行の破綻(はたん)処理を円滑に進めるための措置。一時国有化ともよばれる。国有化の開始は内閣総理大臣が決定し、経営が破綻、あるいは破綻直前の銀行の株式を全額買い取る。国有化された金融機関は政府が選任した経営陣のもとで、預金者や健全な借り手を保護しながら、不良債権処理を進める。資産内容が健全化した段階で、政府は株式を別の銀行などに移譲し、民間銀行として再出発させる。1998年10月に特別公的管理第1号となったのが日本長期信用銀行(現、SBI新生銀行)で、ついで12月には日本債券信用銀行(現、あおぞら銀行)に適用された。日本長期信用銀行は2000年(平成12)3月、日本債券信用銀行は同年9月、それぞれ特別公的管理を終了、民間銀行として再出発した。
[矢野 武]