日本大百科全書(ニッポニカ) 「独居制・雑居制」の意味・わかりやすい解説
独居制・雑居制
どっきょせいざっきょせい
被拘禁者の拘禁形式。独居制とは被拘禁者同士を接触させない拘禁形式で、昼夜独居と夜間独居とがある。前者は昼夜の別なく一房に拘禁し、後者は昼間は他の被拘禁者とともに刑務作業に従事させるなど数人雑居の方法をとり、夜間だけ独居させる。雑居制とは一つの居房に同時に数人の被拘禁者を拘禁する形式をいう。
18世紀ごろまでは、既決・未決、累犯・初犯、少年・成人、男性・女性の別を問わず、一つの居房に多数の者を同時に拘禁する例もあって、悪風感染、風紀紊乱(びんらん)、不衛生など、雑居拘禁の弊害が問題になり、刑務所改良運動の過程では、1人1居房の厳正独居(ペンシルベニア制)を理想とする風潮もみられた。しかし、これは長期にわたると本人に過度の苦痛を与え、精神衛生上も好ましくないばかりでなく、集団的処遇(協同生活による訓練=グループ・ワーク)を困難にするという欠点がある。そこで、1824年アメリカのオーバーン刑務所では、夜間独居・昼間雑居(ただし絶対的な沈黙を守らせる)という方法を採用した(オーバーン制)。現在では、科学的分類に基づく雑居拘禁、それも必要以上に沈黙を強要しない方法がよいとされ、昼夜独居は、新入監者、保安上隔離の必要のある者、釈放間近な者などに、例外的に採用されている。理想的な拘禁形式は、夜間独居・昼間雑居とされ、日本でも、累進処遇第二級以上の者にはこれを原則としているが、主として経済的理由から、全面的実施は困難な状況にある。
[須々木主一]